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Business & Economic Review 2007年04月号

【REPORT】
高齢者の時間消費型サービスの行方

2007年03月25日 調査部 ビジネス戦略研究センター 主任研究員 枩村秀樹


要約

  1. 少子高齢化の進行により、今後、消費市場に占める高齢者のウエートが高まると見込まれている。とりわけ、高齢者は自由に使える時間が増えるため、時間消費型サービス市場の動向が一つの大きな焦点になっている。そこで本レポートでは、2015年時点の時間消費型サービス市場の規模を試算したうえで、その特徴を分析した。

  2. 具体的には、「人口×一人当たり(年間平均)行動日数」という算式により、延べ行動日数ベースの市場規模を試算した。この結果、高齢者の時間消費サービス市場規模は、10年間で約23%拡大すると予想される。もっとも、その内訳項目をみると、高齢者の市場が現役世代の市場縮小を相殺するほどには拡大せず、その結果、全体の市場規模が縮小する項目も多い。この背景には、自由に使える時間が増えるにもかかわらず、現役世代に比べて時間消費型サービスへの時間配分を減らすという高齢者の行動パターンがある。

  3. 高齢者が時間消費型サービスへの時間配分を減らす原因として、余暇時間の活用面で消極派と積極派に二極化し、消極派が多数を占めることが指摘できる。すなわち、時間消費型サービスを行わない人の割合が高まる一方で、時間消費型サービスを選好する人はより多くの時間を配分する傾向がみられる。全体の市場規模が縮小する項目が多いのは、時間消費型サービスを行わない人の割合が高まることによるマイナス影響の方が上回るからである。

  4. したがって、時間消費型サービス市場を拡大させるためには、高齢者の行動者率を引き上げることが重要になる。高齢者の行動者率引き上げには、人的ネットワークの拡大や、就業率の引き上げなどが有効である。
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