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リサーチ・フォーカス No.2021-027

子ども庁構想への期待ー求められる国際水準の子ども政策への転換

2021年09月13日 池本美香


自民党内有志議員による「子ども庁」創設を求める緊急提言を受け、6 月に閣議決定された骨太方針2021 に、子どもの様々な課題に総合的に対応するための行政組織の創設に向けて「早急に検討に着手する」との文言が盛り込まれた。本稿では、子どもに関する行政組織について、過去の提言や検討を整理するとともに、海外の取り組みも参照しつつ、実効ある子ども政策の実現とそのための行政組織の在り方について考察した。

これまでの経緯を振り返ると、2009 年9 月に政権に就いた民主党が、かねてより掲げていたノルウェーをモデルとする「子ども家庭省」設置の具体化に向けて検討を行った。背景には、わが国が1994 年に子どもの権利条約を批准したものの、国内の法律や制度が未整備だと国連から勧告されていたことがあった。子ども家庭省は、子どもの権利条約に沿って改革した保育制度を所管するとともに、子ども関連の政策を全体的に調整する機能を持つ行政組織として構想されたが、実現には至らなかった。民主党以外にも、子どもの権利保障の促進を中心的に担う省庁の設置は、日本教育法学会、日本弁護士連合会、日本学術会議など、多方面から提言されてきた。

このように、20 年以上も前から提案されてきた子ども庁の創設に向けて、政府が検討を開始したことは評価できる。今後の検討に当たっては、以下3 点を期待したい。

第1に、単なる司令塔づくりではなく、子どもの権利条約を起点とした政策に転換するという方向性を明確に打ち出すことである。骨太方針2021 を見る限り、この点極めて不透明である。

第2に、実効性ある取り組みとするために、①子どもオンブズマン、コミッショナーなどと呼ばれる子どもの権利擁護のための独立機関の設置、②子どもの状況を把握する調査・データ収集の強化、③自治体の取り組みを促す制度づくり、について検討すべきである。①については、ノルウェーでは、行政組織の改革より先に子どものための人権機関が設置されている。③については、市町村レベルにおいて総合調整機能を持つ子ども局などの設置義務付けや、自治体の取り組みを定期的に評価し、その結果を公表し改善を促すことなど、イギリスの取り組みが参考となろう。

第3に、保育制度の検討を抜きにした子ども庁創設は避けるべきである。保育制度を子どもの権利条約を基本に抜本的に見直し、新たな行政組織で所管する方向が検討されるべきである。

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
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