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リサーチ・フォーカス No.2021-025

秩序ある2050年カーボンニュートラルに不可欠な経済影響の把握― 金融・企業連携によるシナリオ分析が急務―

2021年08月26日 大嶋秀雄


昨年来、世界的に脱炭素の動きが活発化しているが、気候変動、脱炭素への移行は多大なリスク(気候関連リスク)を伴うため、政策立案にあたっては、その影響を精緻に分析することが必要。

波及経路が広範かつ複雑で、不確実性も高い気候関連リスクの把握には、一定の仮定を置いた「シナリオ分析」が有効。現状では、金融セクターにおいて、経済影響を広範に捉える取り組みが進展。

具体的に、金融セクターでは、各国の金融当局で構成されるNGFSが、経済モデル等を用いて「気候シナリオ」を作成しているほか、欧州の金融当局を中心に、「ストレステスト」による定量分析を推進。主要な金融機関においても、気候関連の開示強化に向けて、個別にシナリオ分析を実施。

金融セクターの取り組みを通じて明らかになった課題の一つが、各産業・企業における影響の把握。企業によるシナリオ分析等の情報開示が限られていることが、広範な影響分析の障害に。

今後は、政府・当局と金融機関、企業が連携して、気候関連リスクの影響分析を精緻化することが重要に。具体的に、①金融機関は、シナリオ分析のノウハウを蓄積し、中堅・中小企業を含む幅広い企業の分析を支援、②政府・当局は、企業にシナリオ分析の開示を義務付け、③政府・当局と金融機関は、企業の開示データを集約・分析して、新たな分析手法の開発や気候シナリオの高度化を進め、シナリオ分析の精度向上を促すサイクルを作り出すことが有効。

シナリオ分析の精緻化は、新興国を含め、グローバルに推進されなければ十分な成果は期待薄。わが国政府・当局は、COP26等の国際議論の場を活用し、秩序ある2050年脱炭素の達成に向けて、シナリオ分析に係る国際的な連携強化を促すことが重要。


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