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リサーチ・フォーカス No.2021-020

NGFSの気候シナリオが示す「2050 年脱炭素」の世界~民間企業で行うリスク分析に向けて求められること~

2021年07月16日 大嶋秀雄


本年6月、各国金融当局等による「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク」(NGFS)は、昨年に続く2回目の気候シナリオを公表。気候変動対策の開始時期や導入プロセス、技術革新のスピード等に応じた6つのシナリオを提示。今回の特色として、2050 年に脱炭素が実現するシナリオが中心とされたほか、計測モデルの高度化により、様々なマクロ経済指標の算出が可能に。NGFSは、次のステップとして、本年11 月のCOP26 に向け、気候シナリオを活用した官民でのケーススタディの蓄積を提示。

今回公表されたシナリオに基づく経済への影響をみれば、以下の通り。
・2050 年に脱炭素が実現する場合であっても、気候変動対策に係る産業間の調整不備や、炭素税により増加する歳入の活用方法、二酸化炭素除去技術の利用状況などの違いにより、経済影響は大きく相違。
・国別にみれば、インドを始めとする新興国は先進国よりも二酸化炭素排出量の削減ペースがかなり遅い(インドのネットゼロは2070 年代)ほか、インドや米国は、相対的に経済へのマイナス影響大。
・炭素税の導入に伴い、2020 年代半ばには世界的にインフレ率が大幅に上昇し、投資需要の増加も相まって、長期金利も持続的に上昇する見通し。2050 年の日本の長期金利は5%に達すると想定。

今後は、①NGFSの気候シナリオを活用した民間でのシナリオ分析の強化に向けて、政府・当局による好事例の収集・公開、金融機関による気候関連リスク分析コンサルティングの提供、NGFSによる気候シナリオの解説の充実化が必要。また、②政府は、政策立案の過程において、気候シナリオや企業のシナリオ分析の結果を施策に織り込むとともに、気候変動対策に関する国際的な連携を深めるべき。さらに、③NGFSは、気候関連リスクの不確実性に鑑み、各国のシナリオ分析等も踏まえた継続的な気候シナリオの高度化を図ることが必要。


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