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リサーチ・フォーカス No.2021-015

地方銀行の信用リスクへの備えを考える ―求められるフォワードルッキング引当の導入拡大―

2021年06月23日 大嶋秀雄


地方銀行の2020 年度決算は、経常利益が小幅な増益となるなど底堅い内容ながら、コロナ危機下の特殊要因の影響が大きく、増益は一時的と考えられる。今後は、特殊要因の剥落や低金利環境の長期化、人口減少ペースの加速による資金需要の減退も予想される。

経営環境が一段と厳しさを増すなか、地方銀行における信用リスクの高まりが懸念されている。コロナ対応によって債務負担が増大した企業の破綻リスクのほか、大口融資先のリスク、越境融資のリスクにも留意が必要。

今後の信用リスクへの備えとしては、将来予測等を用いて貸倒引当金の額を算定する「フォワードルッキング引当」が重要なツール。2019 年度に開始されて以降、メガバンクで導入が進む一方、地方銀行における導入は限定的。

フォワードルッキング引当は、各行が裁量で計測手法を構築するが、地域統計データに制約があるなか、地方銀行が独自の計測モデルを開発することは困難であるほか、恣意的な運用を回避するためのプロセスの透明性や適切なガバナンス態勢の確保にも時間が必要。また、導入当初の信用コスト増大を懸念して、財務余力が十分でない地方銀行が利用に踏み切れない可能性も。

こうした課題の解決に向けて、金融当局には以下の対応が望まれる。
①導入サポート
国内外の先行事例の分析に基づき、地方銀行とのコミュニケーションのなかで、課題解決に向けたアドバイス等を実施
②開示の促進
地方銀行が参考とするため、先行導入した銀行に対して、具体的な引当基準や決定プロセス等の開示を要請
③段階的な導入
導入当初の一時的な財務インパクトを抑制するため、一部の融資ポートフォリオに限定した導入等を容認

地方銀行には、フォワードルッキング引当を活用して信用リスクへの備えを万全としたうえで、持続的な成長のため、収益力強化に向けたビジネスモデル改革に注力することが期待される。


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