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JRIレビュー Vol.8, No.92

アジア経済見通し

2021年08月04日 野木森稔関辰一熊谷章太郎


アジアでは、中国のほか、台湾やベトナムといった輸出主導の国・地域の景気が好調に推移している。先行きについても、中国景気の好調やIT特需に加え、アメリカの景気対策効果が支えとなり、回復基調が続く見込みである。内需比率が高いフィリピン、インドネシア、インドでは回復ペースは引き続き緩慢になるとみられるが、2022年以降は本格回復に向かうと予想される。

ただし、2022年にかけて景気回復に向けた動きに水を差すリスクが幾つかある。今後、①アメリカにおける金融政策正常化の前倒し、②経常赤字の再拡大、③過度な財政・金融緩和などにより、2013年のテーパー・タントラムのような国際金融資本市場の混乱が生じる可能性がある。とくに、対外収支構造に脆弱性が残るフィリピン、インドネシア、インドにとって、そうした動きが景気下振れ要因になる可能性には注意する必要がある。

中国経済への依存度の高さが、アジア景気を押し上げる反面、リスクとなり得る点にも注意が必要である。欧米による対中警戒感は高まる傾向にあり、とくに人権問題に関連付けた対中国ビジネスへの規制が強まっている。また、欧米では経済安全保障の観点から、中国を中心に構成される現行サプライチェーンの見直しに向けた議論が活発化している。これには、半導体産業の欧米への移転・誘致も含まれており、そうした動きが強まる場合には、アジア経済全体が大きな打撃を受ける可能性がある。

主要国をみると、中国は新型コロナ感染が収束するにつれて、投資主導型から消費主導型の成長へと徐々に移行していく見込みである。2021年の実質成長率は前年の反動で高めとなるが、基本的には潜在成長率並みの回復が続くと予想される。ただし、政府が投資抑制策の舵取りを誤れば、景気を冷え込ませるリスクがある。

インドでは、ワクチン接種が普及するまで一定の活動制限が残るため、緩やかな景気回復にとどまり、本格回復は2022年以降になると見込まれる。景気下振れリスクとして、商業銀行の不良債権増加を受けた金融不安定化や、原油高・通貨安によるインフレ加速などが挙げられる。
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