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CSRを巡る動き: 企業に求められる女性従業員に対する支援

2021年06月01日 ESGリサーチセンター、小島明子


 「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」(平成30年法律第104号。以下「成育基本法」という。)が令和元(2019)年12月1日に施行され、令和3年2月に「成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針」が閣議決定されました。今後は成育基本方針を踏まえ、「すべての子どもが健やかに育つ社会」の実現に向けて、社会全体で次世代を担う健やかな子供たちを育む取り組みを行うことが求められます。

 成育基本法は、子供たちの健やかな成長を切れ目なく支援することを目的としており、妊産婦や乳幼児等に対する取り組み等について、普及啓発等の施策を講ずるものとして位置付けられています。成育基本法には「企業の責務」が明記されているわけではありませんが、今後、妊娠・出産を行う可能性のある女性従業員の健康支援、あるいは妊産婦の女性従業員の健康支援に企業が取り組むことへの期待が高まってくるでしょう。

 令和2年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業「妊産婦及び妊娠・出産に当たっての適正な栄養・食生活に関する、効果的な情報発信に関する調査研究」(株式会社日本総合研究所)では、妊娠経験のない女性の約半数は「将来の妊娠を考えた健康づくり」に関して「真剣に考える必要はない」と考えていることが明らかになりました。同時に、企業が行う女性従業員の健康支援に関する取り組みでは、「婦人科検診受診の促進」が約6割と最も多いものの、「健康全般に関する情報提供」は、対面、非対面ともに約3割弱にとどまっていることも明らかになりました。女性従業員側の認識も深まっておらず、企業からの情報提供も十分でないのが現状のようです。

 ただ足元では、コロナ禍が、企業の健康情報に関する情報提供を変え始めている状況もうかがい知れます。「健康支援セミナーをオンラインで実施」した企業は約6割に上り、「健康管理に関する情報を動画で提供」した企業は約半数弱に上ることが、上記調査では明らかになりました。専用のスマートフォンアプリを従業員に提供することで、従業員の健康改善にまでつなげている企業も出てきています。

 最近では、「Female(女性)」と「Technology(テクノロジー)」を掛け合わせた造語であるフェムテック(FemTech)や、「Baby(赤ちゃん)」と「Technology(テクノロジー)」を掛け合わせた造語であるベビーテック(BabyTech)として形容される技術が注目されています。これらの技術で提供されている電子的ツールでは、妊産婦等女性の健康管理をメインテーマにしているものが多く存在しています。このような新たな技術の活用なども視野に、今後、企業のなかで、女性従業員の健康支援の取り組みの裾野が広がることを期待したいと思います。


本記事問い合わせ:小島 明子
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