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リサーチ・レポート No.2021-003

気候関連リスクの把握に向けた金融当局の動きと今後の課題― 欧州の中央銀行によるストレステストを中心に ―

2021年05月19日 大嶋秀雄


世界的に気候変動問題への意識が高まるなか、わが国を含めて多くの国は野心的な温室効果ガス排出削減目標を掲げ、脱炭素社会移行に向けて始動。一方、気候変動や脱炭素社会移行が経済に及ぼす気候関連リスクは十分把握できておらず、各国金融当局は重大な金融リスクの一因になりうると警戒。

各国金融当局等による「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク」は、気候変動のシナリオ分析を行うとともに、金融当局向けストレステスト手引書を発表して、各国金融当局に気候関連リスクのストレステストを推奨。

しかし、欧州でのストレステストをみると、気候関連リスクの分析は、①不確実性の高さや様々な波及経路が想定されることによるシナリオ設計の難しさ、②各企業の温室効果ガス排出量や事業影響等の気候関連データの制約、③地域・企業別や超長期の分析手法の未確立など多くの課題があり、リスクを十分評価できていない模様。こうした課題の解決のため、各国政府・当局は以下の対応が必要。
(1)多面的なシナリオ分析
企業の気候関連開示においてシナリオ分析を義務化して、幅広い企業による分析を蓄積。それを金融当局等が集約して、ストレステストのシナリオ設計に活用。
(2)グローバルなデータ整備
網羅的な移行リスク分析を行う観点から、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を把握するため、各国が連携してグローバルなカーボンフットプリント(原材料から生産、流通、廃棄、リサイクルまでの温室効果ガス排出量の記録)の仕組みを整備。また、災害予測等による影響分析に向けて、企業の主要拠点所在地情報の開示を制度化し、グローバルなデータ集約を推進。
(3)計測手法の確立、標準化
各国金融当局等が試行錯誤で計測している気候関連リスクの精度、比較可能性を高める観点から、国際的に連携して計測手法を開発・共有する枠組みを構築し、計測手法の確立・標準化を推進。

気候関連リスク分析は、金融システムの安定のみならず、秩序ある脱炭素社会移行を実現するためにも重要。金融当局等は、サステナブルファイナンスの推進と併せて、早急に気候関連リスクの分析を強化することが必要。


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