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リサーチ・フォーカス No.2021-002

地銀のビジネスモデル改革と社会課題の解決の両立に向けて―政府は地銀との「協働」による政策推進を―

2021年04月05日 大嶋秀雄


コロナ危機で多くの地域企業が困難な状況に陥るなか、地方銀行には地域の中核として強いリーダーシップを発揮し、地域経済を牽引する役割が期待される。地方銀行が、地域に強いネットワークを有し、地域経済を熟知するという強みを活かしたビジネスモデル改革を実現するために、視点を変えて、政府が社会課題の解決に向けた重点政策を地方銀行と「協働」して推進することを提案する。具体的な施策として以下の4点が挙げられる。

第1は、コロナ禍での資金需要対応である。日本政策金融公庫と地方銀行が資本性ローンの協調融資スキームを構築し、地方銀行のネットワークを用いて高まる資金需要に対応することが考えられる。地方銀行は、協働を通じて事業評価等のノウハウを蓄積し、事業承継や出資ビジネスなどに繋げることができる。

第2は、地方創生である。自治体が地方創生事業を地方銀行に業務委託し、地方銀行が主体となって進めることが考えられる。地方銀行は、自治体との協働によって、業務範囲規制の見直し後に拡充される銀行業高度化等会社を活用した幅広い地方創生ビジネスに参入可能となる。

第3は、グリーン社会実現である。政府が、気候関連の情報開示の枠組みであるTCFDへの賛同を含めた地方銀行の気候変動対応をサポートし、地方銀行を通じて地域企業におけるカーボンニュートラルの取り組みを後押しすることが考えられる。地方銀行は、サステナブルファイナンス等のビジネス機会を捕捉できる。

第4は、デジタル改革である。地方銀行による中小企業のデジタル化支援のサポート、税公金収納の電子化、地方銀行のシステム共同化支援によって、地域企業、自治体、地方銀行のデジタル化を三位一体で進めることが考えられる。これにより、地方銀行の収益性も向上する。
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