コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

リサーチ・フォーカス No.2020-047

コロナ危機下なぜ企業倒産は増えないのかー政府支援策とキャッシュ積み上げで4,000 件抑制

2021年03月29日 安井洋輔


新型コロナ感染拡大の影響から、2020 年の実質GDP は27 兆円も落ち込んだ。まさに、2009 年の世界金融危機時に匹敵する落ち込みである。しかし、当時と大きく異なるのは、倒産件数がほとんど増えていないことである。東京商工リサーチによれば、2009 年の倒産件数は15,480 件であったのに対し、2020 年は7,773 件と半分程度に抑制されている。この要因として、以下の2点を指摘できる。

第1に、政府・日銀による中小企業向け資金繰り支援である。一定の前提条件のもとで試算すると、民間金融機関等による貸出や政府による持続化給付金などの財政措置によって、倒産件数は3,000 件ほど抑制できたとみられる。

第2に、コロナ危機以前からの企業のキャッシュ保蔵である。2013 年以降の景気拡大期に収益環境は大きく改善したが、企業は投資を抑制し、現預金を積み上げてきた。これにより、企業倒産は1,000 件ほど回避できたとみられる。

経済危機時に企業倒産が急増すると、長期失業者や就業意欲喪失者が急増し大きな社会不安が生じるが、これを食い止めたという意味で、今般の資金繰り支援は十分評価に値する政策だったと判断される。

今後、重要なことは、当面のウィズコロナにおいても、企業が付加価値を着実に拡大していけるかどうかである。企業は、事業のオンライン化・業務のデジタル化によって、感染拡大や自然災害が発生した時でも売上を確保できる態勢を整備していく必要がある。同時に、人口減少が進行するなか、既存事業の継続や品質改善に終始するのではなく、消費者の潜在需要を満たす、新しい製品・サービスの創出に今まで以上に注力していくことが求められる。
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ