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リサーチ・アイ No.2020-077

コロナ禍で膨らむ企業のバランスシート ー今後の企業の手元資金の行き先に注目ー

2021年03月22日 大嶋秀雄


2021年3月17日公表の資金循環統計(20年10~12月期)の部門別資金過不足では、企業が最大の資金余剰部門となった。企業の内訳をみると、金融機関借入と現預金がともに大幅な増加となっており、企業が、先行きの資金繰り悪化懸念から資金余剰の下でも積極的な資金調達を行っているとみられる。

法人企業統計を用いて業種別の現預金・借入の動きをみると、コロナ禍でも比較的業績が堅調な業種(20年10~12月期売上が前年同期比プラス)を含め、多くの業種で現預金・借入がともに増加しており、手元資金を確保する動きが広がっていることがわかる。

また、企業の資金調達行動をみると、20年7~9月期は短期借入で調達していたものを返済する一方で社債による資金調達が目立ち、10~12月期は長期借入が多くなった。こうした動きからも、企業の資金繰り悪化懸念の強さが読み取れる。

今後、経済が正常化に向かうと、企業は、手元資金で借入を返済すると考えられるものの、長期借入が増加していることを勘案すれば、返済ではなく投資等に回る可能性もある。これが成長投資に向かって経済回復に寄与するのか、不動産等に流入し資産バブル膨張につながるのか、今後の企業の手元資金の行き先に注視する必要がある。
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