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「まちなかサービス」で見守る、外出自粛する高齢者の健康状態

2021年03月09日 泰平苑子


 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、不要不急の外出自粛が求められました。特に基礎疾患などから重症化リスクが高いとされる高齢者は、感染機会を減らすよう、買い物や通院など不要不急以外の外出も、出来るだけ控えたという方も多いようです。日本で感染者数が増加した2020年3月から数えると、1年間にわたり外出を自粛して、家で過ごす生活が続いていることになります。

 世界保健機構(WHO)が2001年に策定した、国際生活機能分類(ICF)の生活機能モデルに基づくと、健康状態、生活機能(家庭や社会に参加・生活行動・心身の働き)、背景因子(環境と個人特徴)の3つは相互に影響し合うと言われます。
 今回、不要不急の外出の自粛や感染防止策を求める社会的環境から、高齢者の生活・価値観、ライフスタイルは大きく変わりました。若者や壮年層はオンライン授業やリモートワークなど新しい生活様式に移行し、社会参加がそれなりに継続しましたが、高齢者は地域活動への参加(サークルやボランティア)や交流(友人や知人や親族)を控え、不要不急とはいえない買い物や通院の機会もできるだけ減らすなど、生活機能が抑制されました。日常の活動量が大きく減り、かつ長期間、その生活が続くことで筋力や活力が低下し、心身のバランスが崩れ、加齢と共に体調やストレスなど健康状態も悪化していきます。健康状態の悪化が続き、転倒や風邪などで、さらに生活機能が低下する状態になると、数年後に認知症や要介護など健康が損なわれる可能性が高まります。
 そのため、外出自粛そのものを目的にしたり行動原理としたりせずに、3密を避けて適度な活動を行い、帰宅後はうがい、手洗い、手指の消毒を行い、感染防止と健康維持のバランスをとるということが推奨され始めました。

 私たちは新型コロナウイルス感染症という大波を経験し、新しい価値観や生活様式を取り入れました。感染が終息しても、感染拡大前の価値観や生活様式に完全に戻ることは無いでしょう。そこで、国際生活機能分類(ICF)の生活機能モデルに基づき、健康状態、生活機能、背景因子の相互作用を意識して、MaaS(次世代モビリティサービス)を構想する意義が改めて高まります。社会や個人の状況を具体的に踏まえて、移動サービスと生活サービスを包括的に利用でき、良好な健康状態維持も目指すことができる、感染防止と健康維持のバランスが取れたローカルMaaSアプリが求められるのではないでしょうか。

 日本総研は、高齢化が進む郊外ニュータウンを「住み継がれる街」にするための、住民自治によるまちづくりである「まちなかサービス」の事業性と持続可能性の検証を進めています(※)。この取り組みでは、サービスの利便性と効率化を兼ねてスマートフォンで利用するローカルMaaSのウェブアプリケーションを提供しています。
 現在、オンデマンド移動サービスの他、生活サービスとして健康管理や住民同士の助け合いマッチングなどを提供していますが、今回の新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえて、新しい価値観や生活様式、健康のあり方を踏まえたローカルMaaSアプリとしてさらに検討を進める必要があると考えています。

 ローカルMaaSによる「地域のスマート化」を神戸市北区で実証
 「自治によるまちづくり」に向けたラストマイル移動サービスの実証


※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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