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リサーチ・アイ No.2020-055

中国の米国向け輸出の巻き返しは一時的― バイデン新政権は制裁関税撤廃せず、サプライチェーン再編の動きは続く ―

2020年12月08日 野木森稔


2020年11月の中国の米国向け輸出は前年同月比+46.1%と大幅に増加。米中対立のなかでも、米国の対中輸入依存度は急速に上昇。コロナ禍で中国がいち早く生産活動を回復したことに加え、医療やテレワークでの特需も大きく影響。実際、米国輸入における中国シェアは関税制裁実施前まで戻しているが、マスクとノートパソコンを除けば依然低水準(図表1)。

2018年以降、米国は対中制裁関税を4段階で発表。第4弾の一部について発動見送りや関税率引き下げが2020年1月に合意されたが、追加関税25%対象の財(第1弾~第3弾)の輸入は低迷(図表2)。バイデン氏は追加関税の即時撤廃を否定しているため、コロナ特需が剥落すれば、米国の輸入に占める中国シェアは再び低下する可能性大。

制裁関税だけでなく、ファーウェイへの禁輸などハイテク対立への懸念も残り、世界的なサプライチェーン再編の動きは続く見込み。2018~19年に米国の輸入におけるシェアが最も大きく伸びた国はメキシコであったが、2020年にかけてはベトナムが大きく加速(図表3)。米国の中国からの輸入減少寄与が大きい品目では、ベトナムがシェアを大きく拡大(図表4)。同国に続いてアジア各国・地域が名を連ね、各国企業にとって中国からの生産移転先としてアジアが有力候補であることを示唆。



中国の米国向け輸出の巻き返しは一時的― バイデン新政権は制裁関税撤廃せず、サプライチェーン再編の動きは続く ―(PDF:273KB)
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