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JRIレビュー Vol.1,No.85

アジア経済見通し

2020年12月24日 野木森稔関辰一熊谷章太郎


アジア各国・地域の景気は新型コロナの影響を受けた活動制限の緩和・解除、コロナ禍での特需により、回復局面入りしている。しかし、そのペースにはばらつきがあり、とくに、ベトナムを除くASEANとインドでは苦しい展開が続いている。2020年は、アジア経済全体で▲1.4%と、マイナス成長が見込まれる。2021年は、どの国も比較的高めの成長率が見込まれるが、2020年の落ち込みの反動に過ぎない。2020年7~9月期時点で中国、台湾、ベトナムのGDPはすでにコロナ前の水準を回復した一方、その他の国のGDPがコロナ前の水準に戻るのは2021年以降、なかでもインド、フィリピン、タイは2022年以降、と予想される。

低迷するASEAN・インドで景気の好材料として期待されているのが、サプライチェーン再編による企業の生産拠点移転である。しかし、コロナ禍での①中国生産の巻き返し、②直接投資の先送り、③ ASEAN・インドでの経済低迷や社会混乱、などにより、ベトナムを除き、サプライチェーン再編の動きには逆風が吹く。そうしたなかでも、 ASEAN・インド各国では、ビジネス誘致のための魅力を上げる政策、自由貿易協定の推進などが進展しよう。加えて、アメリカの対中強硬姿勢は当面変化がないと予想され、日本・韓国政府は企業のASEAN・インドでの事業拡大をサポートする意向である。中国からの生産移転先がベトナム以外に広がるか否かは、2021年のアジア経済を見るうえで大きな注目点である。

中国では、①政府による早期の活動再開、②積極的な経済対策、③外需の持ち直し、を背景に、景気は日米欧に先駆けて回復した。今後も景気回復は続き、景気のけん引役は投資から消費へ移っていくとみられる。新たな経済発展モデル「双循環」を掲げる政府によって、ハイテク分野への手厚い支援が続く見込みである。2021年の実質成長率は、前年からの反動により+8.2%と高い成長が予想される。年ベースの成長率は大きく上下するものの、四半期ベースの成長率は、政府の政策を駆使した誘導もあり、ほぼ潜在成長ペース(5%程度)へ回帰すると見込まれる。

インドでは、段階的な経済活動再開に伴い景気は底打ちしたが、「封じ込めゾーン」に指定された地域での活動制限や州政府による独自のロックダウンが残り、全体の回復ペースは緩慢であり、足許ではスタグフレーションに対する懸念も燻る。2021年度は+11.0%と高い成長を見込むが、前年度の反動が要因である。先行きも、様々な下振れリスクが残るため、高成長路線に復帰できるかは、土地収用円滑化、解雇規制緩和、国営銀行経営効率化といった、これまで停滞していた改革を断行できるかがカギを握る。
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