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【ヘルスケア】
新しい生活様式におけるオンライングループインタビュー ~シニアを対象にビデオ会議システムを用いて実施した手応え~

2020年09月29日 岡元真希子


 今年の2月、「人生100年」をテーマに、シニアを対象にしたグループインタビューを開催することを計画していた。シニア6名に対して「人生100年」に関する話題を提供したあと、3人ずつのグループに分かれて、今どんなことを考えているのかについてインタビューをするという企画だった。しかし、感染症拡大予防の観点から直前に中止・延期の判断を下さざるを得なくなった。 

 それから約半年を経て、ビデオ会議システムを用いたオンライングループインタビューの形式で当初企画をどれだけ実現できるかチャレンジした。インタビュアーは東京都内、シニアは埼玉県在住で、一度も対面で会ったことはない。参加するシニアには、生活圏内にある拠点「わこう暮らしの生き活きサービスプラザ」(運営主体:株式会社ダスキン)まで足を運んでいただき、事前の準備を行った。まずはビデオ会議の接続の設定とテストだ。シニアのお手持ちの端末に必要なアプリをインストールしたり、あらかじめアプリがインストールしてあるタブレットを貸し出したりして、接続の手順を確認し、実際に接続をしてみる。同じ接続テストを自宅でも実施したうえで、インタビュー当日を迎えた。 

 「なにぶん初めての試みなので不手際があるかもしれません」と予防線を張ったうえでの開催だったが、蓋を開けてみると、参加されたシニアの皆さんは初めての方法でも驚くほどの適応力を発揮され、自然な雰囲気のなかで発言していただくことができた。接続した最初の瞬間こそ「お顔が見えませーん、ビデオのボタンをオンにしてください」「お声が遠いようですがもう少し近づけますか」といった調整が必要だったが、インタビューを始めてみると、意外なまでにスムーズに話題が運んだ。インタビュアーと参加者の間の質疑だけでなく、参加者同士の意見交換が発生するなど、対面でのグループインタビューに勝るとも劣らぬ進行となった。

 さらに、オンラインで開催するメリットにも気づかされた。第一の利点は、対面よりも音声が聞き取りやすいという点だ。一人ひとりの参加者は自宅の静かな場所で参加している。さらにビデオ会議システムの機能により、発話者の画面が自動的に大きく表示されるため、発話者と聞き手がはっきりする。これらによって、対面だと起こりがちな「コソコソ話」「雑音」がない、澄んだ状態で声を聞き取ることができた。もちろん、「コソコソ話」にこそ本音が宿るという面があるが、グループインタビューのファシリテーションという面においては進行がしやすかった。スピーカーの音量は各自で設定ができるため、耳が遠い方は聞き取りやすいように音量を大きく設定できるというメリットもあったようだ。

 二点目として、参加者全員が「正面」になるという点もメリットだと感じた。対面の場合は、いくら少人数でも、インタビュアーから近い席・遠い席ができてしまう。インタビュアーの隣の席の人は、周りの参加者ではなくインタビュアーに対して話そうとする場合もある。しかしビデオ会議では全員が等距離となる。インタビュアー・ファシリテーター・他の参加者はすべて聞き手として、画面上に拡大表示される話者と等間隔に結ばれているような感覚が生まれる。ビデオ会議では上座・下座がないことがフラットな会議運営につながる利点として語られることがあるが、オンラインインタビューでも同じような利点があると感じた。

 シニアを対象にしたオンライングループインタビューは、実施する前は接続できるか、うまく会話ができるかなど不安があったが、実際には、意外に簡単にできてしまった。シニアの側も、コロナの前だったらもっと尻込みをしてしまい、依頼をしても引き受けてくれなかったかもしれないが、このような状況下だから一歩踏み出してくださったようにも感じた。「(出かけられないから)こういうのができるようになると便利よね」「楽しかった」とおっしゃってくださった参加者もいらした。コロナ禍によって、私自身も、またシニアにとっても、新しいことに挑戦する機会をもらったように感じた。


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※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。

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