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コロナ禍における事業創出

2020年09月15日 大森充


1.コロナ禍による外部環境変化
 新型コロナウイルス拡大という未曽有のパンデミックは我々の生活を一変させた。日本の中でも人口密度が最も高い東京では、緊急事態宣言が出された4月、日中の時間帯においても人が外出しなくなり、郊外の住宅地にとどまるドーナツ化現象が発生した。。昨年度対比でみると、平日では約45~70%減、土日では約70~75%減、の外出の少なさであった(※1)
 また、企業経営にも大きな影響があった。いわゆる三密回避、「ステイホーム」による外出自粛は、働く場所を会社から家に変えた。ミーティングはリモート会議システムが一般的となり、会社や顧客先企業へ行かなくても業務が行えるようになったことから、出社や対面営業等の機会が激減した。その結果、人の移動や人が集まることに関連する業種において負の影響が生じた。他方、家での活動が増えたことから家中消費が増え、EC(イー・コマース)を中心とした需要が増加傾向にある。



2.ウィズ/アフターコロナの消費者行動変化に着目
 新型コロナウイルスと共存せざるを得なくなったウィズコロナ時代において、三密回避に伴う「ステイホーム」を強いられることで、「家」と「距離」の概念は大きく変化した。
 ビフォーコロナ時代においては、「家」は多くの人にとって「休む」場所であった。外に「勉強をしに行く」「仕事をしに行く」「遊びに行く」、それら活動の後に、帰る場所として「家」が存在した。しかしながら、ウィズコロナ時代においては、「家で勉強する」「家で仕事をする」「家で遊ぶ」のように、これまで外で行われていた活動の多くが「家」で行われるようになった。その結果、活動の場がオフラインからオンラインに大きくシフトし、オンラインの活動が活発化した。オフラインにおける極度の行動制限はオンラインにおける「距離」の概念を変え、オフラインはドメスティック化、オンラインはグローバル化といった現象が起きている。
 オンラインのグローバル化が進展するアフターコロナ時代では、例えば、「●▲の大学生」といった概念はなくなってくるのではないか。東京の大学で経営学を学び、米国では経済学、英国では金融工学、といったオンラインで開講している講座を必要数取得できれば大学卒業相当の学力があることを認める、といった制度が日本でできた場合、「●▲の大学生」という括りは不要になる。



3.スタートアップから学ぶニューノーマルエコノミー 
 ビフォー/ウィズ/アフターコロナという時代の分類がされるようになったが、新型コロナウイルスの拡大はオンラインの可能性を広げるとともに、工業時代、情報時代の終わりとデジタル時代の到来を感じさせるきっかけとなった。日本政府は来たるデジタル時代をSociety5.0 (ソサエティ5.0)と呼ぶが、まさに未来の時代が到来しつつある。
 その未来の時代を見据え、“Next Big Thing”を狙っている集団がいる。それがスタートアップである。彼らは未来を待つのではなく、自らが未来を創るという矜持を持ち、将来的に一般化するであろう製品やサービスを開発している。
 例えば、「食べる」領域では、衛生面・利便性の観点から、将来的には「モバイルオーダー」が一般化すると思われる。東京では「Uber Eats」のリュックを背負った配達人が自転車で駆け回る様子が社会現象にもなっているが、ビフォーコロナ時代の飲食店で注文・食事を行うという行動形態は、ウィズ/アフターコロナ時代では異なるものになると予想される。
 スマートフォン等から店舗のメニューを閲覧し、そこで予約・決済したものを自由な時間に取りに行くことができるのが「モバイルオーダー」であり、当該仕組みがあれば店舗には取りに行くだけで良く、仮に店舗内で食事する場合にも、着席後、自分のスマートフォンからオーダーが可能なため、店舗内の注文端末やメニューに触れる必要がない。また、決裁も自動化されているため、現金のやり取りがなく、衛生面でのメリットがある。現在、飲食店を中心にこの「モバイルオーダー」を導入する店舗が増えており、今後も一般化されることが見込まれる。



4.コロナ禍を事業機会と捉えた事業開発を
 スタートアップは新型コロナウイルス拡大以前から未来の社会に向けた事業を開発している。希望を込めて、アフターコロナ時代をニューノーマル時代と称するのであれば、彼らスタートアップはニューノーマルエコノミーを予見して事業を創っているパイオニアであると言える。そのため、大企業をはじめ、中堅企業以上がこれから事業開発をしていくにあたっては彼らの事業が大いに参考になるであろう。
 コロナ禍により消費者行動の変化が起き、さらに社会課題が顕在化している。コロナ禍を事業機会と捉え、来たる未来の社会において“Next Big Thing”となるような新たなビジネスのヒントは、ニューノーマルにおける消費者行動の変化を見逃すことなく、顕在化した社会課題に対してオープンイノベーション型で解決することにあるのではないか。



(※1) 国際航業「【東京都】Wi-Fi人口統計を用いた活動人口の推移(昼間人口)」における4月1週から5月3週目のデータを基に記載。

※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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