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リサーチ・フォーカス No.2020-018

強まるASEAN・中国経済のつながり~ASEANの対米中バランス外交継続に落とし穴~

2020年08月14日 野木森稔佐野淳也


コロナ禍で景気悪化に苦しむASEANが、中国と経済的な関係を深めている。本年上半期において、対中総貿易額はASEANがEUを抜き、中国にとって最大の貿易相手になった。足元でも、ASEANを中心とした「一帯一路」沿線において中国の対外直接投資が大幅に増加している。さらに、5Gなど通信インフラ整備に関して、ASEAN内ではファーウェイなど中国企業と協調が進む。苦境のASEANの隙を突く形で中国が影響力を強めているといった見方もできよう。

ASEANにとって対中経済依存度の高まりは経済面ではプラスだが、米中対立が深刻化するなかで政治リスクを高めることになる。米国からのASEANに向けて脱ファーウェイの圧力が強まるが、米国は必ずしも中国のように経済開発へ
の支援などを積極的に進めようとしている訳ではないなかで、中国に一方的に背を向けることもできない。足元で、中国とASEAN諸国は南シナ海を巡る対立が深刻化しているが、経済が政治面において人質になっている。元々、ASEA
Nは外交において、米中対立においてもどちらかの陣営を選択するのではなくバランス外交を旨としてきた。しかし、対中経済依存の急速な高まりはバランス外交を継続するうえでの大きな落とし穴となっている。

個別国の動向をみると、カンボジア、ミャンマー、ラオスが特に中国への経済依存度が高い。さらに、これらの国々は中国との関係を一段と緊密にしようとしている。ASEAN内で対中スタンスに温度差が生じており、これはASEANの
結束力へも悪影響をもたらすリスクを高め、バランス外交の継続を難しくする大きな要因となろう。

今後、ASEANに必要になるのは、一体となって米国との経済連携の深化を模索し、対中経済依存度合いを少しでも和らげていくことだろう。米国との自由貿易協定締結など貿易量を着実に増やすことも一つの方法である。また、「一帯一
路」にも負けないインフラ投資などの事業規模の拡大を日米豪印が主導する「自由で開かれたインド太平洋」構想に対し求めていくことも考えられる。


強まるASEAN・中国経済のつながり~ASEANの対米中バランス外交継続に落とし穴~(PDF:798KB)
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