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JRIレビュー Vol.8,No.80

世界経済見通し

2020年07月31日 石川智久


世界経済は、新型コロナの感染拡大により、戦後最大級の経済危機の最中にある。さらに今回の危機は、過去に例のないスピードでグローバルに雇用喪失が起きたことが特徴として指摘できる。ILOは、2020年1~3月期で1.6億人分、4~6月期で4億人分に相当する総労働時間がコロナ前と比較して減少したと推計している。世界で4億人のフルタイムワーカーに相当する労働時間が減少した場合、2020年央時点で、世界で約1.4億人が失業し、失業率は4%ポイント程度上昇した可能性が高い。

1980年以降の世界経済の実質成長率は年平均+3.5%であった。景気後退の目安といわれる3%を下回った局面は、アメリカの景気後退やアジア危機等の大きな経済ショック発生時に限られていた。21世紀入り後は、年平均+3.8%と、1980年以降の長期平均を上回る成長を実現した。 しかし、足元ではコロナショックにより経済構造も変化しており、ポストコロナの世界経済は、従来の経験則が当てはまらない可能性が高い。

今回の見通しにおける新型コロナの感染状況に関するメインシナリオは、「感染者数は今後ピークアウト。年後半に収束。第2波、第3波があったとしても制御可能」というものである。この場合、本年後半に世界景気はボトムアウトするものの、「Ⅴ」字回復は期待薄である。むしろ、新型コロナ後の新しい経済モデルを模索するなかで、経済活動が緩やかに持ち直していく「レ」字型になる見込みで、2020年の成長率は▲4.0%、2021年が+5.2%と見込まれる。

サブシナリオとして「2021年入り後も断続的に大規模な感染拡大が発生し、多くの国で厳格な移動制限を随時再開。第1波に匹敵する第2波、第3波が発生」とするケースが考えられる。この場合、2020年が▲7.0%、2021年が▲5.0%と大恐慌型になる。

2022~2030年の世界経済を展望すると、米中対立の一層の激化などによる国際協調の後退、財政金融政策の正常化、民間企業のバランスシート問題といったネガティブ要因が山積みである。そのため、2020年代の世界経済の成長率は1980年以降の長期平均を下回る平均3%程度に低下する可能性が高い。世界経済が浮上のきっかけをつかめず、長期にわたって停滞する「日本化」のリスクも否定できない。

世界経済が再び成長を加速させるためには、世界経済を押し下げる要因に対処していくことが重要である。具体的には、①国際協調の推進、②財政・金融政策の出口戦略の構築、③民間企業のバランシート問題解決に向けた対応などが求められよう。
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