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リサーチ・レポート No.2020-016

ウィズ/アフターコロナにおける欧米の金融ビジネス~一過性の影響と構造変化の見極めが重要に~

2020年07月14日 野村拓也


新型コロナウイルスの感染拡大は、金融ビジネスにも大きな影響を与えており、金融機関の今後の事業戦略を検討するうえでは、コロナショックの影響を一過性と捉えるか、構造変化と捉えるかの判断が重要。そこで、欧米金融機関のビジネスライン毎に、足元の業況を整理し今後の見通しについて検討した。

法人向け業務では、貸出業務や債券・株式引受業務が、資金ニーズの高まりから足元拡大しているものの、今後は、資金ニーズの一服と、貸出業務における利鞘縮小、信用コスト増加が見込まれる。M&Aアドバイザリー業務は、企業の様子見姿勢もあり低調に推移しているものの、今後は事業再編ニーズの高まりから回復が見込まれる。

個人向け業務では、決済業務や消費者ローン業務が、雇用悪化と消費低迷により低調に推移しており、当面、急回復は見込み難い状況。一方、ウエルスマネジメント業務は、株価下落により一時的に預り資産残高が減少したものの、市況の回復に加え、低金利環境下における底堅い運用ニーズがあり、回復が見込まれる。オンライン証券業務も、デジタルチャネルの利用拡大により好調に推移する見通し。

フィンテック企業の状況をみれば、P2Pレンディング業務が低迷しており、今後も、信用劣化から厳しい環境が継続する見込み。デジタル決済業務は、消費低迷により足元低調ながら、非接触決済のニーズ拡大により、今後の回復が期待できる。暗号資産ビジネスは、若年層を中心に取引量が増加している。

日本では、欧米と比較して債券・株式業務の拡大が限定的。欧米では、直接金融と間接金融が両輪となって企業の資金ニーズを充足している一方、日本では間接金融への依存度の高さが伺える。

業務環境変化へのスピーディな適応は、競合相手との差別化に繋がる。金融機関は、コロナ禍による生活様式や顧客ニーズの変化を捉えた事業戦略を検討することが重要である。

ウィズ/アフターコロナにおける欧米の金融ビジネス~一過性の影響と構造変化の見極めが重要に~(PDF:1,242KB)
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