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リサーチ・レポート No.2020-010

【米国経済見通し】コロナショックで二極化が進む米国経済~大統領選後も米中対立・反グローバリズムは長期化~

2020年07月07日 井上肇橘高史尚


米国では、本年3月半ば以降、景気が大きく下振れ。NBERは、2009年7月から始まった過去最長の景気拡大が本年2月でピークを迎え、3月から景気後退局面入りしたと認定。

企業部門では、政府、FRBの迅速な政策対応により、多くの企業が活動制限期間中の資金繰り破綻を回避。もっとも今後は、企業債務が元々高水準であったことも相まって、デレバレッジの動きが設備投資などの重石となる見込み。

家計部門でも、政策対応が失業の抑制や家計の所得補填などの面で一定の効果。もっとも、当面は消費者の自粛ムードが残り、個人消費はコロナ流行前の水準を下回る状況が長引く見通し。元の経済活動水準に戻るのに2年程度かかるため、労働市場では失業率の高止まりが続く見込み。

財政政策についてみると、共和党は経済活動の再開を優先させたものの、その後、新規感染者が急増するなか、財政面からの追加支援に前向きになり始めており、今夏中に第4弾の経済対策が成立する公算大。ただし、財政見通しの悪化を懸念する声もあるため、上程中の民主党案よりも規模が縮小されると予想。

金融政策についてみると、FRBは、9月のFOMCで、①インフレ率に紐づけしたフォワードガイダンスへの修正、②期限を明示しない資産買い入れ政策への移行、を決定すると予想。今後、フォワードガイダンスが十分に機能せず、大幅な金利上昇が懸念される場合には、中短期ゾーンでのYCTの活用が検討される公算大。

米国経済の先行きを展望すると、4~6月期は年率約3割のマイナス成長となった後、7~9月期以降はプラス成長に転じる見込み。もっとも、感染拡大への懸念が残るなか、Ⅴ字型の力強い景気回復は見込み薄。経済活動水準がコロナ前に戻るのは2022年以降に。

新型コロナをきっかけとして様々な分野で二極化が加速。家計部門では、相対的に学歴の低い労働者や黒人労働者が多く失業する一方、富裕層は緩和的な金融環境の下で資産規模を拡大。また、企業部門では、消費者のEコマースシフトでリアル店舗が苦戦する一方、オンライン事業者・IT企業には追い風に。

加えて、反中国・反グローバリズムの動きも加速。対中世論の悪化などを背景に、米国の政界は反中国で一枚岩になっており、米中対立は長期化する見通し。また、移民流入の抑制が続けば、多様性を原動力としてきた米国の中長期的な成長力の低下は不可避。

【米国経済見通し】コロナショックで二極化が進む米国経済~大統領選後も米中対立・反グローバリズムは長期化~(PDF:654KB)

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