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JRIレビュー Vol.8,No.80

アジア経済見通し

2020年07月31日 野木森稔関辰一熊谷章太郎


アジア経済では、新型コロナ感染拡大の影響により大きく落ち込んでいるが、とくに東南・南アジアで失業率が急上昇するなど深刻な情勢悪化が見られる。感染拡大は足元でピークアウトしつつあるものの、第2波への警戒は怠れず、金融面への影響波及などに引き続き注意する必要がある。

正念場を迎えているASEAN・インド経済は、今後、インフラ整備の積極化、中国からの生産シフトにかかわる投資誘致の促進、自国内高度産業の育成、といった構造変化を目指す動きの加速が予想される。一人当たりGDPを見ると、2000年代に中国が中・高所得に向けて順調な離陸を成し遂げたのに対し、ASEAN・インドはその後塵を拝する形となっていた。上記のような動きが、足元の苦境を高成長実現に向けた好機へと変化させよう。

世界経済の成長が当面弱い足取りになると見込まれるなか、先進国全体で超低金利が続く可能性が高い。そうしたなかでは投資家のリスク選好度が高まり、相対的に高成長、高利回りが見込めるインド、インドネシア、フィリピンなどへの証券投資が加速する可能性が高い。なお、過剰流動性のなかで、金融バブルを回避するには、金融面での評価に見合う実体経済の成長力強化を図る構造改革が不可欠である。

中国では、経済活動がいち早く再開され、主要統計にも持ち直しの動きがみられる。しかし、内外需の停滞、在庫調整圧力、活動制限の継続が重しとなるため、Ⅴ字回復は困難。2020年は+0.2%成長と、44年ぶりの低水準になる見込みである。テクノロジー・経済超大国へ転身させるべく力を注ぐデジタル人民元について、今後の進展が注目される。

インドでは、新型コロナ対策としてのロックダウンを受けて、足元の景気が大幅に悪化している。規制の継続、限られた財政・金融政策余地などから、年度後半の持ち直しペースは緩慢にとどまる公算が大きい。高成長軌道に復帰できるかは、ビジネス環境の改善や対内投資促進のための規制緩和など構造改革の成否にかかっている。
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