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リサーチ・アイ No.2020-014

新型コロナ禍でアジア景気悪化が深刻化― 国内経済活動急停止と輸出急減が金融不安を高める可能性に注意 ―

2020年05月11日 野木森稔


内憂外患のアジア経済は景気悪化がこれからさらに深刻化。製造業PMIの低下は韓国・台湾など北東地域よりも南・東南地域で大(図表1)。世界一ともいわれる厳格な都市封鎖を実施したインド、感染拡大が続き外出・工場稼働規制の大幅緩和が難しいインドネシア、フィリピンなどで景気が大きく落ち込む見込み。

輸出減もさらなる下押し要因に。テレワーク特需によるパソコン・半導体輸出の増加で、これまでのところアジアからの輸出は堅調(図表2)。しかし、グローバルでの経済活動停止により自動車などの消費財に下振れ圧力。実際、韓国の5月上旬の輸出は前年同期比▲46.3%と急減(図表3)。輸出急減がアジア全域で景気悪化の第2波となる可能性を示唆。

景気悪化により金融面でのリスクも台頭。新興国の為替市場では経常収支赤字国を中心に通貨が大きく下落(図表4)。現時点でアジアの金融・通貨市場は不安定化していないものの、経常赤字が続くインド、インドネシア、フィリピンに加え、対外短期債務が外貨準備比で90%を超えるマレーシア、外貨準備の水準が月間輸入4か月分と低いベトナムなど、南・東南アジアを中心に金融面で脆弱。国内経済活動停止の長期化・深刻化や、輸出急減が懸念されるなか、企業倒産が急増し、それが信用不安・資本流出加速といった事態に発展するリスクには注意が必要。


新型コロナ禍でアジア景気悪化が深刻化― 国内経済活動急停止と輸出急減が金融不安を高める可能性に注意 ―(PDF:271KB)
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