今夏の賞与を展望すると、民間企業の一人当たり支給額は前年比▲6.4%と、リーマンショック以来の大幅なマイナスとなる見込み。
背景には、第1に、2019年度下期の企業収益の低迷。経常利益は、2019年10~12月にかけ3四半期連続の減益に。非製造業は堅調を維持したものの、製造業が世界的な設備投資の抑制や自動車の販売低迷に伴い不振。第2に、年明け後の新型コロナの影響。世界的感染拡大を受けた輸出の減少、感染拡大防止に向けた休業の広がり、外出自粛に伴う国内消費の冷え込みにより、製造、非製造業ともに急速に業況が悪化。先行き不透明感・雇用不安の増大により、今春闘では、製造業でべアゼロ回答が続出するなど、賞与額のベースとなる所定内給与(基本給)の伸びも鈍化。
もっとも、大手企業では、3月以降の情勢悪化の影響が反映されるのは年末賞与となる見込み。インバウンドの激減と休業で打撃を受けた百貨店でも、プラス支給で妥結の例も。
支給総額は、同▲8.2%の減少となる見込み。一人当たり支給額の低下に加え、支給を見送る企業の増加により、支給対象者数が減少するため。
一方、国家公務員は、同+0.7%の増加となる見込み。夏季と年末の支給割合の平準化の影響を含む支給月数の引き上げ(+0.05月分)と月例給の引き上げ(+0.09%)が押し上げに作用。
2020年夏季賞与の見通し― 新型コロナで一人当たり支給額が大幅マイナスに ―(PDF:267KB)
