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リサーチ・アイ No.2019-065

新型コロナ早期終息でも2020年の世界経済はマイナス成長

2020年03月26日 石川智久


新型コロナウイルスは足元までにアジア地域から世界全体に拡大。世界中で渡航禁止や外出禁止などが実施された結果、経済活動が停滞し、世界経済は大幅に減速。

地域別にみると、新型コロナの震源地である中国で大幅なマイナス。中国政府が消費者の移動や外出、工場の操業や店舗の営業を全国規模で抑制したため、1~2月の経済活動は前年比2ケタのマイナスに。足元では、規制を緩めるなど、経済活動の正常化を促しているものの、回復ペースは緩慢。ヒトの動きが新型コロナ流行前の水準に戻るには、あと1~2カ月かかる見通し。

先進国では、欧米で移動制限等が本格化するなか、リーマンショック並みのネガティブ・インパクトが生じる可能性が高まりつつある状況。一方、わが国では、厳しい移動制限を導入していないため、他国と比べて落ち込み幅は相対的に小。

こうした状況を受けて、各国中銀は大規模な金融緩和を実施。さらに、IMFがリーマンショック時以上の財政出動(当時のGDP比2%の9000億ドル)を要請するなか、各国では大型の財政措置を検討。

先行き、新型コロナの拡大が短期終息すると想定しても、2020年の世界経済は、リーマンショック時の2009年(前年比▲0.0%)よりも低成長となる見込み。震源地の中国は1~3月期に大きく落ち込むものの、その後は回復局面に。新型コロナの感染拡大が遅れて始まった、その他の地域は4~6月期が景気落ち込みのピークとなる公算。

各国とも、経済活動水準が急激に落ち込むものの、新型コロナが早期に終息すると想定すれば、金融緩和や財政措置がプラスに作用するため、景気後退が長引く事態は回避される見込み。2021年は+5.2%と反発するものの、2020~2021年の平均では世界的な景気後退の目安と言われる3%を下回る水準にとどまる見込み。

なお、リスクシナリオとして、流行が長期化した場合は、リーマンショックを大幅に上回る落ち込みに。実際、ILOは最悪のシナリオとして、リーマンショックを上回る雇用喪失リスクを指摘。夏までに新型コロナを封じ込めることができるか否かが当面最大の焦点。

新型コロナ早期終息でも2020年の世界経済はマイナス成長(PDF:382KB)
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