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リサーチ・アイ No.2019-057

1~3月期の中国経済は前年比マイナス成長に

2020年03月06日 関辰一


新型コロナウィルスの震源地となった中国経済は混乱の最悪期を脱しつつあるものの、1~3月期の経済成長率は前年同期比▲1.0%へ低下すると予測(図表1)。消費・生産の落ち込みを勘案すれば、マイナス幅がより大きなものとなる可能性も。

マイナス成長の主因は、政府による新型コロナウィルス対策。中国政府は強権発動により流行を抑え込み、短期で終息させる戦略。消費者の移動や外出、工場の操業や店舗の営業を抑制。

これらの結果、企業の経済活動は1月後半から2月半ばにかけて全国規模で停滞。2月後半でさえ、GDPの60%のウエイトを占める中小企業の操業(営業)再開率は、わずか30%(図表2、3)。人手不足や物流の停滞などが操業・営業再開のボトルネックとなり、操業・営業を再開した企業もフル稼働には程遠い状況。たとえば、自動車産業の操業再開率は75%まで回復した一方、生産量は平時の30%と低迷(図表4)。

2月の製造業PMIは急低下し、リーマン・ショック直後よりも低水準に。リーマン・ショック時との大きな違いは、非製造業の落ち込みが製造業以上に大きくなった点。旅客輸送量は前年同期比▲80%となったほか、映画館の入場者数はほぼゼロに。

なお、足許では、混乱はピークアウトする兆し。中国政府が経済活動の再開を指示したため、すでに80%以上の大企業は操業(営業)を再開。この結果、4~6月期にはプラス成長に持ち直す見通し。ただし、部品生産や物流を担う中小企業の操業・営業の再開が遅れるなか、大企業の設備稼働率が元の水準に戻るには時間がかかる見込み。そのため、巡航速度の成長ペースに回復するのは7~9月期に後ずれする見込み。2020年通年の成長率は+3.9%と予測。

1~3月期の中国経済は前年比マイナス成長に(PDF:279KB)
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