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リサーチ・フォーカス No.2019-036

インドは本当にRCEP から離脱するのか?~2020 年のRCEP 交渉の論点~

2020年02月21日 熊谷章太郎野木森稔


2019 年11 月にインドがRCEP(東アジア地域包括的経済連携)交渉からの離脱の可能性を示唆する一方、他の交渉参加国はインドを含む16 ヵ国での2020 年内の発効を目指している。2020 年内にRCEP 交渉が妥結に至るかはインドが主張する「未解決のまま残されている重要な課題」を解消できるか否かにかかっている。

インドが抱いているRCEP 参加に対する最大の懸念は、貿易赤字拡大による製造業育成や雇用創出への悪影響である。これを解消するには、インドの製造業振興や輸出拡大につながる取り組みにRCEP 交渉参加国が積極的に関わっていく必要がある。しかし、その効果が現れるまでには時間が掛かるため、インドの懸念を取り除くのは容易ではない。この他、インドのサービス輸出の拡大や在外インド人の本国送金の増加につながる労働者の国際移動の自由化に向けた協議を進めることも交渉議題になりうるが、わが国をはじめとする各国は外国人の受入拡大に対して慎重な姿勢で臨むとみられることから、RCEP 交渉は今後も難航する公算が大きい。

交渉が難航した場合、ひとまず15 ヵ国でスタートし、インドが将来的に参加できるように調整していくといった柔軟な対応に切り替える可能性も十分考えられる。現時点では、インドのRCEP 参加の成否がRCEP の経済効果に与える影響は軽微であるが、インド経済が本格台頭する局面となればその長期的なインパクトは無視できない。今回、仮にインドの参加が見送られることになっても、関係国はインドの参加に向けた議論を重ねていくべきである。

インドは本当にRCEP から離脱するのか?~2020 年のRCEP 交渉の論点~(PDF:1,617KB)
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