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リサーチ・レポート No.2019-013

【世界経済見通し】力強さに欠けるものの、回復基調は続く~ 米中対立に加え、債券バブルと中国の債務問題がリスク~

2019年12月03日 石川智久


2019年の世界経済は大幅に減速。米中貿易戦争を背景に先行き不透明感が高まり、貿易・投資活動にブレーキが掛かったことが主因。ただし、足元では底入れの兆し。

業種別にみると、世界的に製造業の減速が顕著である一方で、非製造業は堅調が続き、二極化の様相を呈していたが、ここに来て製造業にも下げ止まりの兆し。米中貿易戦争が大統領選等を前に一時休戦に向かいつつあるほか、各国での良好な雇用環境を背景に主要国の内需も底堅いことから、更なる減速のリスクが小さくなりつつある状況。

製造業不振の大きな要因であった半導体販売額も足元で底打ちの兆し。半導体関連の投資予測によると、急激な回復は見込みがたいものの、AIやIoT等への関心は引き続き強いため、緩やかながらも中長期的に増加していく公算大。

金融環境をみると、世界的に金融緩和姿勢。今後、金融緩和効果が顕在化し、景気を下支えする可能性大。財政についても、ペースは限定的ながら総じて拡大方向となる見込み。

以上を総合すると、世界景気は緩やかに持ち直していく見通し。ただし、米中覇権争いは今後も続くと見られるなか、投資をはじめとする企業のリスクテイクは活発になりにくく、力強い牽引役が不在の状況が長引く見込み。2020年3.4%、2021年3.4%と、2019年の3.0%からは加速するものの、1980年以降の平均程度の成長率にとどまると予測。

リスク要因としては、米中対立に加えて、世界的にマイナス金利建ての債券が多く発行されるなか、債券バブルの芽がみられることに注意が必要。また、中国では幅広い分野で過剰債務問題が残存。新興国ではトルコ・アルゼンチン等の外貨準備が少ない国の通貨・金融面の脆弱性に引き続き注意が必要。

【世界経済見通し】力強さに欠けるものの、回復基調は続く~ 米中対立に加え、債券バブルと中国の債務問題がリスク~(PDF:780KB)
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