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リサーチ・レポート No.2019-011

米国の景気拡大と低インフレの併存-アマゾン効果によってインフレ率は▲0.1%ポイント下振れ

2019年10月25日 安井洋輔井上恵理菜


米国経済は、米中貿易摩擦が激化するなかでも堅調さを維持。失業率が3%台まで低下するなか、賃金上昇率は3%程度まで上昇。他方、物価は伸び悩み。インフレ率はFRB の2%目標を下回る状況が持続。

こうした好調な景気と低インフレが併存する背景として、米国エコノミストは、生産性の上昇、グローバル化、原油価格の下落、顧客の囲い込み、オンライン・ショッピングの普及がインフレ圧力を減じる「アマゾン効果」といった仮説を提示。これらの仮説について主にマクロデータに基づいて検証すると、アマゾン効果以外は妥当性が低いという結果。

アマゾンは総じて既存小売店よりも割安に提供しているため、アマゾン経由の購入拡大に伴い消費者のインフレ予想が低下。この結果、インフレ率も下振れ。一定の前提条件の下にアマゾン効果を試算すると、2016 年以降のインフレ率を年平均▲0.1%下押し。

こうしたアマゾン効果は、短期的には景気の押し上げに寄与。その理由は、予想インフレ率の低下以上にFRB が利下げする結果、実質金利が低下するため。他方、中長期的には金融政策の有効性が失われるリスク。実質中立金利が低下するなか、予想インフレ率が低下すれば、景気後退時の金融緩和余地が実質的に縮小。今後、日本と同様、流動性の罠に陥る懸念も。

米国の景気拡大と低インフレの併存-アマゾン効果によってインフレ率は▲0.1%ポイント下振れ(PDF:1,482KB)
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