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リサーチ・フォーカス No.2019-029

地方創生の柱は地域産業戦略-産学官金の連携により生産性向上を図れ

2019年11月12日 藤波匠


政府が2014年に策定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略(以後、地方創生戦略)」が、見直し時期に差し掛かっている。本年6月19日にリリースした地方創生再考シリーズ第1弾では人口移動に注目し、8月28日にリリースしたシリーズ第2弾では出生数の観点から、それぞれ地方創生戦略の成果について検証した。シリーズ第3弾にあたる本稿では、地方の産業戦略のあるべき姿について考察する。

第1期地方創生戦略でも、産業振興については触れられているものの、地方の現場では、若い世代を呼び込む手法として移住促進策が注目され、重点的に取り組まれてきた経緯がある。いま一度、若い世代が地方に定着するうえで不可欠な経済基盤を確立するため、人口減少下での地域産業の活性化について取り上げる。

東京圏、地方圏とも、1980年代に比べ直近の経済成長率の低下が顕著であり、かつその主たる要因はTFP(全要素生産性)の伸びの低下である。しかし、低くなったとはいえ、製造業依存度の高い地方圏は、東京圏に比べTFPの伸びは2倍程度あり、今後もTFPの伸長を図る産業戦略が望まれる。

地域産業のTFP向上を図るには、「技術革新」と「海外需要」の取り込みがポイントとなる。技術革新の分野では、これまでのように単なる省力化ではなく、より付加価値の高い製品・サービスの提供につながるような発想が望まれる。弘前大学では、地域住民の膨大な健康情報を活かし、多様な民間企業とのオープンイノベーションによる研究・開発が進められている。

海外需要の取り込みに関しては、このところ保護主義という逆風が吹いているものの、中小企業でも、輸出企業や海外直接投資を行う企業の方が、国内マーケットのみをターゲットとする企業よりも収益性が高いことが知られており、実際、近年中小企業の売上高に占める輸出比率は上昇傾向にある。現在、県内自動車関連産業の多くが重層下請けの下位に位置している鳥取県では、県内中小企業の収益性の改善を目指し、中国吉林省への電気自動車などの部品輸出を図る計画が進行中である。

地方中小企業が生産性(TFP)を向上する鍵は、地域に根付いた地域金融機関の貢献にある。資金供給の要というだけでなく、より重要性を増すのが、地方で不足しがちな高度人材の供給やオープンイノベーションのマッチングを、地元企業と強い結びつきを有する金融機関が担っていくことである。

地域産業戦略こそが地方創生戦略であるとの認識のもと、地方の各主体が連携し、地域の強みを生かした戦略を構築することが求められており、その積み上げこそがわが国全体の成長戦略に他ならない。

地方創生の柱は地域産業戦略-産学官金の連携により生産性向上を図れ(PDF:814KB)
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