今年前半を振り返ると、エコノミスト・企業経営者ともども、景気減速感が強まったという見方が一般的だったが、実際は潜在成長率を大きく上回る成長となった。高成長を見抜けなかった理由として、以下の2点を指摘できる。
第1に、輸出の減少を過大視したことである。過去の輸出減少局面と比べて、今回の輸出の下振れは極めて緩やかであった。また、輸出依存度もそれほど上昇していない。そのため、輸出が景気を大きく下押しすることにはならなかった。
第2に、非製造業の牽引力を過小視したことである。製造業の低迷とは対照的に、非製造業は堅調に拡大した。とりわけ、サービス消費やソフトウエア投資が大きく伸びた。内需牽引力の高まりが、外需の下振れを相殺して、高成長を実現させた。
景気牽引役が製造業から非製造業にシフトしている現状を踏まえると、①非製造業の動きをより反映させた新たな景気指標の作成、②需要構造の変化に柔軟に対応した経営戦略、③産業構造のシフトを促す経済政策、などに取り組むことが必要だ。
なぜ今年前半の高成長を見抜けなかったか?~経済構造の変化を踏まえた景気判断が不可欠~(PDF:358KB)
