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Business & Economic Review 2012年3月号

【特集 中国経済成長モデルの脆弱性】
成長モデルの転換を求められる中国経済-壁に直面する加工貿易

2012年02月24日 関辰一


要約

  1. 中国経済はこれまで高成長を維持し、世界経済に対する影響度が高まっている。今後も、中国は持続的な成長を実現できるのかが世界的に注目されている。


  2. 近年、中国では人件費の大幅な上昇により、高成長を牽引してきた加工貿易はその役割を果たすことができなくなりつつある。平均賃金は2005年から5年間で2倍、最低賃金は2.4倍に上昇した。中国のアパレル・衣類の国際競争力はベトナムを下回るようになったように、中国の軽工業品の国際競争力は他の新興国に追い上げられ、追い越されるようになった。加工貿易に携わる企業は厳しい経営環境に直面し、加工貿易の輸出に占める割合は2005年以降低下傾向にある。


  3. 中国の産業競争力は新興国に追い上げられる一方、先進国に追いつかない状況にある。研究開発の基盤が弱いため、高付加価値製品の国際競争力は十分に高まっていない。


  4. 賃金上昇を厳しく抑制して加工貿易の競争力を維持すること、あるいは、高付加価値製品の国際競争力を短期間で高めることは容易ではない。ただし、持続的な経済成長は不可能と過度に悲観する必要もない。新しい成長エンジンとして“新興国向け一般貿易”と“内需”がキーワードとなろう。先進国向け加工貿易が減速するなか、新興国向け一般貿易は高い伸びを維持しているため、輸出は緩やかな減速にとどまっている。同時に期待できるのは内需の拡大である。自動車産業をはじめとする内需関連産業は所得水準の上昇に伴い、中長期的に拡大していくと展望できる。


  5. これまでの発展モデルは壁に直面しているものの、台頭しつつある新しい成長モデルが中国の持続的な発展を下支えすると期待される。
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