一方で、適応策を講じるには膨大な資金を要する。2014年にUNEP(国連環境計画)が発表した「The Adaptation Gap Report」によると、地球全体の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑えるという国際目標を達成できたとしても、途上国における気候変動への適応策に必要なコストは、それまでの推定値(2050年までに年間700億~1,000億米ドル)の2~3倍に及ぶとされている。こうした適応策について公的資金のみで対応するのは限界があり、民間資金の活用も含めた多様な資金調達手段を検討することが求められる。さらに気候変動という長期的な環境問題の性質を踏まえると、長期的な資金を安定的に調達することが求められることから、「グリーンボンド(気候変動対策を目的とする事業活動に資金使途を限定した債券)」のような資金調達手段を検討することも一案である。海外の地方自治体では2013年から2014年にかけて一気にグリーンボンドの活用が広まり、スウェーデンのヨーテボリや南アフリカのヨハネスブルグ、フランスのイル・ド・フランス州、米国のマサチューセッツ州、カリフォルニア州、カナダのオンタリオ州などが相次いでグリーンボンドを発行した。その発行総額は、2014年だけで47億米ドルに上る。