社会・環境・経済側面の目標達成が求められるイベントに オリンピック・パラリンピックを「責任あるイベント」として開催するということが開催都市にとって常識となってきた。ここで「責任ある」というのは、施設整備や大会の運営にあたって、環境や社会に対する悪影響を出来るだけ小さくするということである。「持続可能な」オリンピック・パラリンピックという表現が使われることもある。 過去には、自然破壊を引き起こすと、関連施設の整備が批判にさらされることが度々あった。1994年のリレハンメル冬季大会は、史上初めて公式に「グリーン(環境に配慮する)」という看板を掲げた大会だった。マスタープランにあったオリンピックホールの位置は、鳥類生息地を確保するために変更された。 2000年代に入ると、社会側面の批判も目立つようになる。2004年のアテネ大会では、国際的なNGOと労働組織が、世界のスポーツウェアメーカー7社と国際オリンピック委員会に対し、開発途上国でのサプライヤーにおける女性の強制労働の禁止など、労働条件の改善を求めた“Play Fair at the Olympic”と名付けられたキャンペーンを展開した。 2012年、持続可能なイベントのためのマネジメントシステムの国際規格ISO20121が発行した。この規格では、社会、環境、経済のそれぞれの側面の目標を同時に達成するために、イベント開催組織が行うべき要件を定めている。実は2012年に開催されたロンドン大会は、ISO20121に準拠した初のオリンピック・パラリンピックとなった。