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オピニオン

オランダ型の植物工場技術の強み

2014年11月04日 三輪泰史


 日本農業の成長産業化が重要政策として挙げられる中、その手段の一つとしてオランダの植物工場が注目されている。
 植物工場には、建物内で人工照明だけで植物を栽培する人工光型、温室内で自然光と人工照明を用いる併用型、温室内で自然光のみを用いる太陽光型の3種類がある。このうち、オランダが得意なのが太陽光型・併用型の2種で、時に「オランダ型」とも称される。

 植物工場は、工場内に設置された各種センサーのデータを基に、温度・湿度・日照・CO2濃度・養液成分(pH、EC)・風速等の多数のパラメータを、植物の生育に最適な環境条件に制御することがポイントとなる。
 人工光型と「オランダ型」の太陽光型・併用型では、制御手法に大きな違いがある。人工光型がパラメータごとに単体で制御しているのに対して、太陽光型・併用型では各パラメータを統合的に制御するという複雑な手法を用いている。

 人工光型は、閉鎖空間での人工照明により、日照や外気温等の外部環境のかく乱要因を排除できるため、栽培の最適点を設定し、設備ごとに複数の機器を個別に制御する。一方、太陽光型・併用型は、それぞれのパラメータの相互作用を制御ロジックに反映した上で、同時に複数の機器を制御し、パラメータを統合的に管理している。
 各パラメータには相互作用があり、一つのかく乱要因が多数のパラメータに波及的に影響する。例えば、曇りから晴れに天候が変わると日射の増加に加え、気温や相対湿度が変化する。さらに光合成の促進により、CO2濃度の低下や、植物の吸水量の増加が起きる。連動してリアルタイムに変化する全パラメータを最適化するには、高度な制御システムが不可欠である。

 オランダは、豊富なデータに基づく研究成果を活かし、効率的かつ安定的な環境制御を実現する高度な制御システムを生み出した。「オランダ型」で用いている高度な制御システムは、農産物の安定した成長に加え、収量の増加と、品質の向上も実現したのである。

 今後、日本の農業企業が成長していくには、日本とオランダの得意分野の融合、すなわち日本で培われた甘いトマトのような付加価値の高い農産物の栽培ノウハウ・匠の技と、オランダの高度な制御システムを融合させることが欠かせない。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。