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ティラワ経済特別区からヤンゴンーティラワ経済圏への拡がりに期待

2013年12月25日 松岡靖晃


 2015年末にAEC(ASEAN Economic Community)が発足する。テインセイン政権になり大きく民主化へ舵を切ったミャンマーは、AEC発足時にもアジア各国に大きな影響を及ぼすと考えられる。そのミャンマーにおいて2013年10月、ティラワ経済特別区における官民共同プロジェクト推進組織「日本・ミャンマー共同事業体」が設立された。この事業体が主体となり第1フェーズの400haを2015年開業目指して開発する。

 ティラワ経済特別区は産業首都ヤンゴン市内から南へ約25kmの郊外に位置する。ヤンゴンはミャンマーの産業の中心で労働人口約500万人のポテンシャルを有しており、ティラワ経済特別区はこのポテンシャルを組み込むことが必要になる。しかし、ヤンゴン市内からティラワ経済特別区までの橋や道路等のインフラや、住宅環境は十分なものとはいえない。ASEAN域内の水平分業の視点から豊富な若年労働力で注目を集めるティラワ経済特別区ではあるが、AEC発足後、他地域との競争の中で労働者・中間管理職人材をどう確保するかが課題になってくるだろう。

 この課題を解決するために、ヤンゴン市内にいる人材確保の取り組みを日本の官民が協力してミャンマー政府に働きかけ、ヤンゴンーティラワのヒトの流れを作り出し広域経済圏を構築するという仕掛けが必要ではないだろうか。具体的には、橋や道路のインフラ整備とティラワ周辺未開発地域の一体開発の提案や、経済特別区域内ならびにその周辺地元住民への職業訓練施策の提案等を検討していくべきであると考える。

 日本はミャンマーに対して過去の円借款による債権を3,000億円放棄した。この事実からも、インフラ整備ニーズはあるがその資金負担をミャンマーに期待することができないのが実情だ。しかし海外各国は資金力の乏しいミャンマーに対して将来の成長を織り込んだ投資を次々と行っている。「日本は債権放棄したから、(その見返りとして)インフラ受注ができるだろう」という期待先行の取り組みではなく、「ミャンマーの経済成長を共に創造し、成長した果実を分け合う」という発想で検討を前に進めていくべきではなかろうか。日本が一つの橋頭堡を築いたティラワ経済特別区のプロジェクトから、ヤンゴンーティラワ経済圏創造への面的な拡がりを期待したい。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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