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全業種での女性の活躍支援

2013年12月04日 小島明子


 2013年10月、世界経済フォーラム(World Economic Forum)は、「The Global Gender Gap Report 2013」を公表した。各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)で日本の順位は、調査対象136カ国のうち105位であり、前年の101位に比べて、4位も下がる結果となった。教育水準は高いものの、女性の経済活動や政治への関与が低いことが順位を下げた原因である。

 総務省の労働力調査(2012年)によれば、女性の就業者数の比率が高いセクターは、医療・福祉(75%)であり、次に宿泊業,飲食サービス業(61%)、教育,学習支援業(56%)である。一方、女性の就業者数の比率が2割に満たないセクターは、建設業(14%)、電気・ガス・熱供給・水道業(13%)、林業(13%)などが挙げられる。サービスセクターでは女性の活躍の場が多いものの、建設業をはじめ、一部の業種では活躍の場が少ない状況がうかがえる。
女性の就業者比率が47%を占め、女性の活躍が進むオーストラリアでも、全業種で女性の活躍が進んでいるとは言えない。オーストラリアでは、建設業、鉱業、電気・ガス業における女性の就業者比率は、それぞれ、建設業が19%、鉱業が17%と低い。(*1)

 Australian Human Rights Commissionは、建設業や鉱業など女性が少ない業種で、企業が女性活躍支援を進めていくためのツールキットとして、2013年5月に「Women in male-dominated industries」というレポートを公表した。このレポートでは、女性の活躍が進まない建設業などの業種の企業において、女性に事業内容の関心喚起に向けたPR活動、女性の採用活動、働き続けられる職場環境の整備、女性の登用に向けた能力開発、といった4つの視点が重要だということを示している。 

 安部政権の日本再興戦略においては、国内の女性活躍支援を重視し、働く女性の増加、女性の登用に向けた施策を掲げている。働く女性の増加に向けては、女性が少ない業種における活躍支援も1つの課題であろう。オーストラリアの事例に倣い、それらの業種に焦点を当てた情報の提供など、きめ細かく、それぞれの業種ごとに、活躍する女性を増やす具体的な促進策が、必要だということを強調したい。 
 
(*1)Workplace Gender Equality Agency, Gender equality-benchmarking (September 2013)


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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