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多職種との連携を通じた社会福祉士の実践的な資質向上のあり方に関する調査研究

2013年06月06日 齊木大


*本事業は、平成24年度社会福祉推進事業として実施したものです。

事業目的
 生活困窮者の自立支援における、社会福祉士と多職種(医療職、行政職、民間支援団体の相談員等)との連携のあり方を整理するとともに、そうした実践を通じた社会福祉士の資質向上の道筋を明らかにする。また、新任の社会福祉士が多職種と円滑に連携し、実践を通じて知識・技術を習得することを促進するため、上述の検討結果を踏まえて社会福祉士が多職種連携を深めていくための手引きのような形でとりまとめることを目的として実施した。

事業内容
(1)生活困窮者支援を実践する多職種へのインタビュー調査
 生活困窮者支援を実践している社会福祉士を中心に、行政職や他の専門職等を含めた専門職に対し、生活困窮者支援における多職種連携の効果と課題、社会福祉士との連携に関する実態等について聞き取り調査を行った。

(2)社会福祉士の多職種連携の実態と課題の検証
 生活困窮者支援における社会福祉士が参加した多職種連携における実態や課題について、広く様々な分野で相談業務等に従事する社会福祉士における一般性を検証するため、アンケート調査を実施した。広く様々な場所で勤務する社会福祉士を把握するため、インターネット調査を活用して実施した。

(3)報告書(社会福祉士が多職種連携を深めていくための手引きとして活用できるもの)のとりまとめ
「これまでは生活困窮者支援分野に携わった経験が多くなく、それゆえ広範な多職種連携の経験も少ない社会福祉士」を読み手として想定し、多職種連携を深めながら生活困窮者支援に取り組んでいくための考え方、工夫等をとりまとめた。

事業結果
(1)生活困窮者支援における社会福祉士への期待
生活困窮者支援における社会福祉士への期待として次の3点が整理された。
・複合的・重層的な課題の解決が必要となるため必然的に多職種連携が求められること
・支援の早期段階で社会福祉士がアセスメントとプランニングに専門性を発揮すること
・社会福祉士が包括的な視点から多職種連携のきっかけとなること

(2)多職種連携の実態と課題
 上記(1)のような期待の一方、現時点では、社会福祉士の多くが高齢者福祉分野(介護分野)に従事しており、生活困窮者支援に関する相談業務等に従事している社会福祉士の割合は小さい。また、対象者が明確である制度において従事しているがゆえに日常的に関わることが多い課題および日常的に連携する・相談できる多職種の範囲も限定的である。
 また、課題の分野・内容に関係なく多職種連携の必要性が認識されている一方で、日常的に接点が無いあるいは知らない職種との連携については、連携することに対する抵抗感が大きいこと、日常的な連携があっても「医師」「法律関係(弁護士、司法書士、行政書士/裁判所、警察等)」「行政」に関しては抵抗感が比較的大きい。

(3)多職種連携を深めていくために有効な取り組み
 上記(2)のような抵抗感を解消し多職種連携を深めていくためには、具体的な事例に基づく相談・連携、クライアントの現況や課題等の情報を文字化して共有するアセスメントシート等のツール、多職種との接点のきっかけとして異分野の研究会等を活用すること、経験豊富な社会福祉士からの助言・指導、経験豊富な社会福祉士を介して連携先の紹介を受けるといった取り組みを、組織あるいは地域で一体的に実施することが有効である。

※詳細につきましては、下記の報告書本文をご参照ください。
報告書:多職種との連携を通じた社会福祉士の実践的な資質向上のあり方に関する調査研究

本件に関するお問い合わせ
総合研究部門 公共コンサルティング部: 齊木 大
TEL: 03-6833-5204   E-mail: rcdweb@ml.jri.co.jp
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