コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

オピニオン

新興国開拓こそ共創で

2013年03月12日 松岡靖晃


商品やサービスの開発プロセスに多くの顧客を巻き込み、よりよいモノを作り出そうとする「共創」。この試みはインターネットが普及し情報流通コストが大幅に下がった2000年代以降急速に広がった。リナックスの商品開発などがその代表事例だ。最近、新興国における事業開発支援を行っていると、商品開発ではなく事業モデルそのものを顧客と共創する仕掛けが重要になっていると感じる。

例えば新興国の貧困層をターゲットとするBoPビジネス。対象となるBoP層は、貨幣経済社会の外で生活している場合も多く自由に使うことができるお金を持っていないことも多い。このような場合、自社商品を利用してもらうためにはBoP層向けの商品開発だけでは不十分だ。BoP層の人々をバリューチェーンの一部分に組み込み、BoP層が商品購入するための現金獲得手段も合わせて提供できるような事業モデルを顧客と一緒に検討することが重要になっている。

もう一つの例は、新興国の急速な都市化に伴って開発が本格化するスマートシティビジネス。自社商品を提案するだけでは、運よく採用されたとしても単発受注に終わり、巨大な成長市場を享受するには不十分だ。責任者が抱える課題を先回りして解決策を提示し、顧客と共に市場成長の恩恵をシェアできるような事業モデルを顧客と一緒に検討することが重要になっている。

現在新興国市場で起こっているこの2つの事象には、解決すべき課題や進むべき方向性を顧客自身が明確にできていないという背景がある。だから一緒に検討して新しい事業モデルを作りこむことに価値を感じてもらえる。このような状況は成長著しい新興国市場ではいたるところに出現するであろう。そこに共創の概念を導入すべきではないだろうか。

共創は単に対話をするだけでは生まれない。市場・顧客に対する深い洞察に基づく「投げかけ」が起点となる。コンセプトを作り、そのコンセプト実現のために自社の役割を明確にする。それと同時に顧客側にも期待する役割を投げかけることが必要だ。この活動が今後新興国市場開拓では重要になってくると考える。

顧客と共創する際には、技術のオープン化や事業への出資など日本企業が実行に躊躇する事象が発生しやすい。日本企業が持つ従来の慣習やルールに沿った活動をしていては、新興国の顧客の検討スピードに追いつけない。リスクの所在を明らかにし、そのリスクを積極的にとることで新興国の成長を取り込むという姿勢に変えていくべきだ。新興国市場で日本企業が存在感を発揮できるよう、日本企業の組織づくり、人づくり、ルールづくりを支援していきたい。

経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
カテゴリー別

業務別

産業別

レポートに関する
お問い合わせ