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国内で進む女性活躍支援の動き

2012年12月18日 小島明子


2012年10月、ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事が、IMFと日本銀行主催のセミナーにおいて、日本人女性の半分は労働に参加しておらず、働ける文化を整備し、女性の労働参加が広がることで、日本経済の成長にも寄与するとし、日本人女性の労働参加の重要性について語ったことは、国内で大きな話題となった。

IMFによれば、日本では、女性の管理職比率が著しく低いことが指摘されている。米国では女性の管理職比率が43%であるのに対し、日本は 9%である。タイでは、OECDの平均をわずかに下回る29%と比較的良く、インドネシアと中国でも14%と17%となっており、日本の数値は、アジアのなかでも非常に低い数値となっている。(*1)

少子高齢化が進む日本においては、働き手の不足が問題とされており、現在、政府としても女性活躍支援を進める動きが出てきている。2012年6月に、「女性の活躍による経済活性化を推進する関係閣僚会議」が「女性の活躍促進による経済活性化行動計画 働く「なでしこ」大作戦」を策定した。働く「なでしこ」大作戦とその後に閣議決定された日本再生戦略に基づき、女性活躍に関する指標等の公表に係る資本市場における企業の取り組みを促す方策について検討することを目的とした、女性の活躍状況の資本市場における「見える化」に関する検討も進められている。

企業側にとって女性活躍支援策は、大きく2つの意義を持つと考えられる。1つは、優秀な女性が活躍する会社だという企業イメージの改善や、男性だけでない多様な視点が入ることによる、製品・サービスにおけるイノベーションの創出等の収入関連の成果である。2つ目は、従業員の定着率の向上や、女性のきめ細やかな気配りが可能にする行き届いたマネジメントなど、オペレーションの効率性やリスクマネジメント等のコスト関連の成果である。

ある外食チェーンでは、女性を会社の財産という意味で“人財”と位置付け、活躍支援を進めている。従業員と管理職の女性の人数を増やすことに努めており、現在、60人程度の女性店長を100人にすることを目標としている。女性の店長は、顧客との積極的なコミュニケーションも得意で、リピーターも増えやすく、女性が店長を務めている店舗の営業成績は良いというメリットが出ているという。

実際に、女性活躍支援策を企業価値向上につなげるための成功法は企業の業態によっても異なるものであり、各社が独自に試行錯誤していくことが求められる。ただし、女性の活躍支援を考えていく過程では、両立支援策や人材活用策などを再考する必要に迫られることも多く、企業にとって、女性という枠にとどまらず、男女問わず従業員との関係性を改めて見直す、格好の契機になるというメリットもある。

(*1)出所:ファイナンス&ディベロップメント( 2012年12月)


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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