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2011年からの環境対応 ~生物多様性とどう向き合うか~

2011年02月08日 古賀啓一


2010年は国際生物多様性年、2011年は国際森林年と国連で定められています。昨年2010年は世界の生物多様性の重要性の認知度を高める年であり、10月には「生物多様性条約COP10(第10回締約国会議)」を愛知・名古屋で開催しました。新聞やテレビで連日報道がなされたほか、「名古屋議定書」と「愛知ターゲット」の採択に成功しており、国際生物多様性年を盛り上げることにある程度成功したといえるでしょう。また、弊社でもCOP10を盛り上げるべく日本の森林に焦点を当てたセミナーを全国で開催しており、2011年以降も生物多様性保全を目指す準備を進めています。

COP10後も生物多様性保全の今後を占う動きが複数見られます。例えば、生物多様性の科学的知見と政策への提言を結ぶIPBESの発足が、2010年12月に国連で正式に採択されました。IPBESは気候変動枠組み条約におけるIPCCに相当する機関であり、今後各国の環境政策に大きな影響を与えていくことが期待されます。また、我が国に目を向ければ、愛知ターゲットに沿った国家戦略を既に策定しているほか、新たに「海洋生物多様性保全戦略」の取りまとめも進めています。陸上と違って海洋の生態系は把握が難しいとされますが、各種報告から海洋の生物多様性も危機的状況にあることが示唆されています。豊かな海洋資源に支えられる我が国としても、同戦略は、持続可能性を考える上で重要な位置を占めることになるでしょう。

しかし、これらの動きは実行に移して初めて効果が現れるものであることは言うまでもありません。特に、実行面で期待されるのは企業の取り組みです。先んじて行動する企業は、すでに国内外の動きを把握した上で、自社の生物多様性への影響削減、保全と復元につながる社会貢献などを展開しています。こうした先進事例の積み重ねが、生物多様性の実際の保全を進めることは間違いありません。

生物多様性には温暖化や水問題、資源調達など多様なかかわり方ができます。企業として何をすればいいのか、個人として何をすればいいのか、最適な統一した解はなく、手探りで見つけていかなければなりません。社会が求める方向性を把握し、自らの最も貢献できる取り組みを発見していく必要があるのです。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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