政府債務残高のコントロールのあり方-国債整理基金の実態と望まれる今後の対応
1999年09月25日 調査部 河村小百合
要約
国債大量発行時代を迎えたわが国の政府にとっては、資金調達コストの最小化をいかに図るかが喫緊の課題である。この目的は、一面においては、別掲論文において検討したように、国債の発行面や流通市場の整備等の施策を通じ、国債市場全体の効率性や流動性を高めることによって達成することができると考えられる。しかしながら、短期的な視点からは見落とされがちな点ではあるが、政府がその資金調達コストの最小化を図るうえでより重要なのは、債務者として、その将来的な返済にかかるスタンスや能力に関し、債権者である国民や市場の長期的な信認をいかに得るかということである。そこで本稿においては、別掲論文の補論としてこの点を検討するべく、まず、わが国の減債制度である国債整理基金の仕組みを概観したうえで、その運営の実際、および結果としてのわが国政府債務残高の姿の評価を試み、今後の政策的対応のあり方の望ましい方向性を考えることとしたい。