Business & Economic Review 2000年12月号
【PERSPECTIVES】
企業収益回復の持続性を探る-金利上昇・原油高・海外景気減速の影響をどうみるか
2000年11月25日 調査部 枩村秀樹
要約
企業業績は1998年を底に回復傾向を持続している。大蔵省「法人企業統計季報」ベースでみると、全産業ベースの売上高は4~6月期に前年同期比3.1%増となったほか、経常利益も同40.2%となり、前回景気回復局面のピーク時に近い水準にまで到達している。
しかし、2000年央以降、金利上昇、原油高、輸出減速など、企業収益を押し下げる要因が顕在化してきた。現在の景気回復を主導しているのは企業部門であり、さらに今後の景気も企業部門の好調が家計部門へどの程度波及するかにかかっていることから、企業収益はわが国経済のカギを握っているといえる。以下では、これまでの企業収益回復の背景を整理したのち、収益押し下げ要因の影響を織り込んだうえで、企業収益が回復傾向を持続できるかどうかを展望した。