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農産物の真の価値を表現するブランド構築
~次世代農業コンソーシアムの取り組み紹介~

2009年11月02日 三輪泰史


 日本各地には美味しく、安心・安全な農産物がたくさん存在します。中国産餃子問題をはじめとする数々の事件・事故をうけ、日本総研が行ったアンケート調査でも国産志向が顕著に現れました。しかし、経済危機による消費の冷え込みにより、品質の高い国産農産物ですら低価格化に晒されています。本来の価値を評価しない、価格一辺倒の競争は、農家の努力をないがしろにしていると言えます。
 このような状況の打破に期待されるのが、高品質農産物のブランド化です。国産農産物も玉石混交であり、良いものだけを抽出すれば消費者の高い評価をえられます。不景気においても消費者はささやかな贅沢を求めています。プレミアムビールのヒットが典型的でしょう。明確な差別性と高すぎない価格設定が勝因と言えます。通常の農産物よりも少し高い、こだわりの高品質農産物を日本総研では「セミプレミアム農産物」と名づけています。
 これまで、高付加価値農産物のブランド化の取り組みでは、有機農産物や特別栽培農産物といった規格が作られてきました。しかし、有機農産物は市場拡大に苦戦しており、シェアはわずか0.2%ほどにしか過ぎません。これらの規格は数字上のスペックであり、生産者のこだわりや地域性といった付加価値を表現するものではありません。日本農業の再生には、農家の創意工夫がきちんと価格面に反映されるブランド構築が必須と言えます。
 そこで、日本総研が主催する「次世代農業コンソーシアム」では、農家のこだわりや地域特性を表現した新たなブランドの立ち上げを行っています。本ブランドには、コンソーシアムのメンバー企業である複数の小売企業(スーパーマーケット、百貨店、農産物宅配事業者)が賛同しており、既存の企業の枠を超えた統一ブランドであることが大きな特徴です。本ブランドでは、高品質な農産物を通して、地域とのつながり、農家とのつながり、家族内のつながりを深めてもらいたいという思いのもと、「絆」をキーワードにしたブランド展開を予定しています。本ブランドの立ち上げに際し、本年11月~12月において、3社の百貨店と1社のスーパーマーケットにて、フェアを開催します。
 日本総研は自ら新たなビジネスモデルを構築することで、日本農業の再生を目指します。


次世代農業コンソーシアム :
日本総研が主催する、新たな農業ビジネスモデルの構築を目指す企業と自治体・生産者が集まる組織体。参加企業は26社。(2009年10月現在)
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