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リサーチ・フォーカス No.2026-044

価格・金利上昇で変容する住宅ローン市場 ― 家計・金融機関のリスク管理と売却を見据えた中古住宅の流通促進を ―

2026年09月24日 下田裕介


わが国では、住宅価格の高騰と金利上昇により、家計の住宅取得環境は厳しさを増す状況。こうしたなか、住宅ローンの新規取組額に大きな変化はみられない一方、借入の条件等に変化あり。具体的に、フルローンやペアローン等による借入額の増加、相対的に低金利となる変動型金利の選択、最長50 年の超長期ローンの普及に伴う借入期間の長期化、残価設定型住宅ローンの登場等を指摘可能。

こうした対応は、一時的な返済負担の軽減につながる一方、新たなリスク発生につながるおそれ。例えば、家計では、将来の金利上昇や支出の変動に伴う返済難、完済年齢の後ずれによる高齢期の負担増、売却時の担保割れなど、様々なリスクを内包。金融機関にとっても、借り手の延滞や貸し倒れに伴う、信用リスク増大のほか、住宅ローンの選択肢拡大による実務面や説明責任の負担増が懸念点。

これらのリスクに対して、求められる対応の方向性は以下の通り。

① 家計が自らのリスク耐性を客観的に認識できる環境の整備
金融機関による多角的なキャッシュフローシミュレーションの提供や、官民一体となった金融教育を通じて、家計が住宅ローンの商品性やリスクについて理解し、利用の判断や商品・条件の選択ができる環境づくりが必要。

② 家計による住宅売却を支える中古住宅の流通促進
借入期間の長期化を踏まえると、将来的に住宅売却が返済手段のひとつに。住宅を適正な価格で売却できる環境を整備するため、住宅の構造・内装や、点検・メンテナンスの履歴などが適正に評価され、次の購入者の判断に活用される仕組みを普及させることが有効。

③ 金融機関のリスク管理態勢の強化と適切な監督、デジタル化による負担軽減
個々の金融機関が安易なローン期間の長期化や過剰な融資を抑え、借り手の実質的な返済能力を厳正に審査しているかを、金融当局として適切に監督していくことが不可欠。また、事務面や説明責任への負担増に対しては、手続きのデジタル化を進めることで明瞭さと事務効率化、採算性を実現する必要。


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