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Economist Column No.2026-048

大阪が副首都を目指すうえで必要な視点

2026年08月04日 藤山光雄


7月24日に副首都法案が成立した。今後は、副首都の要件を定めた政令、および、副首都の機能や整備の方向性などを示す基本方針の策定が政府内で進められるとともに、副首都の指定を目指す道府県での具体的な検討が本格化すると見込まれる。
副首都は、あくまで定められた要件に沿って指定されるものであり、具体的な道府県や数が現時点で決まっているわけではない。一方、大阪・関西万博の開催等をきっかけに地域経済の復活を目指す関西経済のけん引役であり、かつ、東京に次ぐ大都市でもある大阪が副首都を目指すことは、わが国経済の持続性や多様性の観点から望ましい動きと評価できる。ただし、大阪が副首都を目指すうえでは、今後以下のような点で議論を深めていく必要がある。

■日本全体にとってのメリットとは?
第1に、大阪が副首都になることによって、日本全体にどのようなメリットがもたらされるのかという点である。副首都構想は国の政策である。そのため、大阪にとってのメリットだけでなく、日本全体にとってのメリットを、大阪と直接関係がない人々にも積極的に伝えていく必要がある。例えば、首都中枢機能のバックアップを担ううえで、国の出先機関や金融・放送・通信インフラのバックアップ機能など既に一定の集積がある大阪であれば追加的な整備コストが相対的に抑えられること、地理的に日本の中心に近いほか、陸海空の交通インフラが整っており、各地域との往来がしやすいこと、などが考えられる。
なお、関西域内では、大阪以外の府県にどのようなメリットがあるかはもちろん、大阪が副首都となった場合に、地域経済の発展に向けてどのような連携を取り得るのか、検討しておくことも欠かせない。

■東京との差別化
第2に、多極分散型経済圏の形成を目指し、経済面において東京との差別化を図ることである。首都中枢機能のバックアップを担ううえで必要な産業(金融サービス、情報通信サービスなど)について一定の規模を維持しつつ、東京とは異なる大阪・関西ならではの成長産業を持つ必要がある。
具体的には、「地域未来戦略」で近畿地方の戦略産業クラスター計画に選ばれたバイオ・ライフサイエンス産業のほか、関西が強みを持つ脱炭素関連産業(ペロブスカイト太陽電離、蓄電池、水素、核融合など)が期待される。また、わが国のものづくり力を維持・継承していくために、大阪に集積する優れた技術を有する中小企業を一体として捉え、「ものづくり産業」として支援していくことも一案だろう。これらの産業の育成は、わが国の経済安全保障やエネルギー供給制約への対応などの面からも有効といえる。

■民間企業や住民の声を聞く
第3に、副首都構想に対する民間企業や住民のニーズを把握することである。首都中枢機能のバックアップを担い、多極分散型経済圏を形成していくためには、民間企業や住民に、「大阪に本社を置きたい」、「大阪で事業を行いたい」、「大阪に住んでみたい」、と思ってもらわなければならない。そのためには、副首都になることによって何が変わるのかを伝えたうえで、どのような施策があれば大阪に投資するのか、どのような都市になれば大阪に住みたくなるかを聞いていく必要がある。また、民間企業や住民側からも、機会をとらえて自治体に要望を伝えていくことが望まれよう。

■大阪都構想との関係
最後に、大阪が副首都を目指すうえでは、いわゆる「大阪都構想」との関連も無視できない。もっとも、大阪都構想は府市二重行政の解消を目的とした地方制度改革であり、副首都になるための必要条件ではない。大阪府・大阪市の「大阪の副首都構想」(第20回副首都推進本部(大阪府市)会議資料6、2026年2月12日)などでも一部示されているものの、副首都の機能を担ううえで大阪都構想がどのような役割を果たすのか、幅広く丁寧に説明していく必要がある。また、大阪都構想が実現しなかった場合に副首都をどのように目指すのかについても、明確にしておく必要があろう。

<参考レポート>
・若林厚仁 「副首都法案の成立で何が変わるのか -東京一極集中から多極分散型国家への第一歩-」、日本総合研究所、Economist Column No.2026-039(2026年7月13日)
・藤山光雄 「地域未来戦略と副首都構想を関西における成長産業育成の追い風に」、日本総合研究所、ビューポイント No.2025-036(2026年3月6日)


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