JRIレビュー Vol.7, No.134
日本経済見通し
2026年07月31日 松田健太郎、藤本一輝、小林佑里恵、大島侑真
わが国では供給制約が景気回復の足かせとなっている。労働力不足が成長を抑制しているほか、国際秩序の変容が供給力の脆弱性を高めている。エネルギー供給力の弱さや産業競争力の低下を背景に、輸入品への依存は一段と強まっており、わが国経済は海外発の供給ショックの影響を受けやすくなっている。こうしたなかで政府が実施する需要下支え策は、物価押し上げに作用し、結果的に供給制約の景気への影響を増幅する一因となっている。
先行きも、供給力の弱さが経済成長を制約し、わが国景気は緩慢な成長にとどまる可能性が高い。中東情勢の緊迫化は、①輸出の下押し、②調達遅延、③物価の押し上げ、を通じて景気を下押しする。その影響が一巡した後も労働力不足が景気回復の重石となる。消費減税をはじめ、需要刺激的な政策対応が続くなか、政策面からの供給力拡充も見込みがたい。
さらに、エネルギー供給や輸送網に追加的な障害が生じた場合には、景気が大きく下振れするリスクがある。相次ぐショックに対して需要刺激に偏った政策対応を続ければ、経済の耐性が高まらないまま、財政出動の余力が失われる恐れもある。
各国間の通商面・外交面の摩擦が常態化するなか、わが国が持続的な成長を遂げるためには、経済の耐性強化に向けた取り組みが不可欠である。政府は、①生産性向上を含む供給力の底上げ、②重要物資の備蓄拡充と調達先の多角化を通じた供給網の強靭化、③将来ショックに備えた財政余力の確保、を一体的に進める必要がある。
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