Economist Column No.2026-030
日本銀行:政策金利を1%に ~「金利のある世界」が本格的に到来~
2026年06月16日 石川智久
■日本銀行が政策金利を0.25%引き上げ、ついに1%へ
本日、日銀が政策金利の0.25%引き上げを実施した。これによって政策金利水準は1.00%となり、「金利のある世界」が本格的に到来したといえる。そこで今後の金融政策について、筆者の意見を述べたい。
■先行きも金融市場を睨みながら、緩やかな利上げを続ける公算
結論から言えば、今回の利上げはインフレ鎮静化とバブル抑制の観点から望ましい政策といえる。また、世界各国の中銀も総じて引き締め的に政策運営を進めているなか、内外金利差を理由とした円安を進ませないためにも適切な決定であったと考えている。原油の代替調達も進んでいるほか、中東情勢に緊張緩和の兆しがみられるのも、景気や株価にはプラスであり、今回の利上げを支援したといえるだろう。
もっとも、今後の利上げペースには注意が必要であり、金融市場に悪影響を与えないペースを探りながら進めていくべきである。筆者は、半年毎に0.25%ずつ引き上げ、2027年前半には1.5%程度まで上昇するとみている。このペースであれば、金融市場への影響も小さいとみられるほか、景気を過度に冷やすことはないと考えられる。
■各部門への影響はどうか
各部門への影響をみると、家計部門全体としては、豊富な家計純資産を背景に金利引き上げはプラスの影響が及び、企業部門全体でもマイナス影響は限定的とみている。ただし、家計部門では相対的に借入が大きい現役世代、企業部門でも借り入れが多い中小企業や不動産・小売等のセクターに悪影響が生じるといった影響格差が生じる公算大が大きい。金利上昇による悪影響を受けるセクターに配慮した政策対応が求められる。
そして、金利上昇の悪影響が一番大きいのが政府部門である。利上げ継続に加え、長期金利も急上昇が続くなか、利払い費急増リスクが高まっている。このままいけば、2030年頃の利払い費は、足元の約10兆円から20兆円を超える水準まで上昇する可能性が大きい。これまで先送りしてきた財政再建に否応なく踏み出さざるを得ない時代に入ったことは間違いない。日本政府は、もはやかつてのような低金利に甘えた政策運営は許されないことを認識すべきだろう。
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