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Economist Column No.2026-005

中東の混乱が突き付ける日本の教訓とは

2026年04月10日 石川智久


米国とイランが2週間の停戦を合意した。もっとも、中東情勢は混とんとしており、再び大規模な軍事衝突が起きるリスクは燻っている。また、米国が自国第一主義を強めるなか、世界中で局地的な地政学リスクが顕在化する可能性も否定できない。そこで、今回の一連の動きから得られた教訓から示唆される、わが国の経済戦略の方向性を考えたい。

■①ホルムズ海峡以外にも存在するチョークポイントとなる海峡への注意
防衛力で大きく劣るイランが米国を相手に有利に話を進めている背景には、イランがホルムズ海峡の通行に影響を及ぼせる地理的な要件が指摘できる。今回はホルムズ海峡を封鎖したことで、世界の物流の流れを止めた。海峡はしばしばチョークポイントと言われる。それは閉鎖されれば、世界経済が窒息するからである。そして、実際、ホルムズ海峡が閉鎖された結果、世界経済の先行き不透明感が急速に高まった。まさに海峡は世界経済にとって非常に重要な場所であることが示された。そして、世界の物流で重要な海峡・海路は多くある。具体的には、マラッカ海峡、デンマーク海峡、喜望峰、スエズ運河、パナマ運河等が注目される。今後、その海域に影響力を行使できる国々が、自分たちの国益のためにイランと同様の行動に出るリスクに注意が必要である。

■②在庫・調達戦略アップデートの必要性
これまではキャッシュフロー経営の下、在庫は極力もたないことが良いとされてきた。しかしながら、地政学リスクが高まるなか、そうした時代は終わりを迎えつつある。これからは適切な規模で企業・政府が重要物資等の在庫を抱えていく必要性がある。
ただし、国家備蓄については、自国だけでは重要物資の在庫を抱えるのは限界もある。そのため、価値観を同じくする国と共同在庫・調達を進めていくべきである。もっとも、共同在庫・調達も提携している国に政変等があれば、約束を反故にされるリスクもある。その観点から、まずは自国でできる部分を強化していき、それを補完するものとして共同在庫や調達を進めるべきだろう。

■③日米同盟の強化と外交関係多角化の両立
米国は、自国第一主義に戻りつつあるものの、アジアについては米国の勢力圏とする南北アメリカ大陸等に次ぐ重要性を持つと認識している。その観点からは、欧州に対するNATOの見直しのような態度をとる事態は起きにくいと考えられる。そうであれば、日本としては、日米同盟の強化と貿易関係の深化はこれまでと同様に重要となる。
一方で、米国との対等な関係を構築するためには、日本が米国以外の国や地域とも良好な関係を構築することで、米国に過度に頼らない体制を構築すべきである。そのためには外交関係を多角化していく必要があり、インドをはじめとするグローバルサウスとの関係強化を急ぐべきである。また、今回のエネルギーをはじめとする供給ショックを機に、再びアフリカの資源への関心が世界的に高まっている。最後の成長フロンティアと言われているアフリカとの関係構築も進めるべきである。


※本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊社が一般に信頼出来ると思われる資料に基づいて作成されたものですが、情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがあります。本資料の情報に基づき起因してご閲覧者様及び第三者に損害が発生したとしても執筆者、執筆にあたっての取材先及び弊社は一切責任を負わないものとします。


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