コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

リサーチ・アイ No.2025-119

米国所得収支の急速な悪化の要因と通貨覇権への影響 ― 米国の対外収支構造が急変、対外債務悪化を助長すればドル信認に悪影響も ―

2025年12月17日 ジェイムズ・パターソン、野木森稔


米国の国際収支統計における第一次所得収支が急速に悪化し、それとともに対外純資産のマイナス(純債務)が急増。以下に見るように、コロナ禍以降の①対内株式投資の増加、②債券利払い負担の急増、が主因。

まず、ハイテクブームを背景とした海外からの米国株式投資が急増。過去はプラスが続いていた株式投資における純資産残高は、コロナ禍以降、大幅なマイナスに。加えて、2022年以降のFRBによる急速な利上げを行ったことを受け、長期金利が上昇。米国債での海外からの借り入れはさらに拡大し、利払い負担が急激に増加。

米株のハイテクブームと高金利は先行き和らぐ見込みも、大幅な調整は見込めず。さらに、コロナ禍前に比べ、対外直接投資を含め海外投資収益全体が弱含み。米国企業が海外で高収益を獲得し難くなっている可能性大。

これまで米ドルという基軸通貨を持つ米国は、自国通貨で対外取引や借入ができ、巨額の財政・経常赤字を抱えても資金調達コストを低く抑え、海外への投資収益によって所得収支も安定的に黒字を維持することができるという「法外な特権」を享受。しかし、足元にかけての所得収支悪化は「法外な特権」の効力低下を示唆。仮にこの状態が長期化すれば、さらなる経常収支悪化と対外純債務膨張を招き、米ドルの信認にも影響する恐れ。


(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ