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リサーチ・レポート No.2025-015

【2025~27年度欧州経済見通し】欧州持ち直しはユーロ圏主導、英国鈍く ~ 財政押し上げもドイツ頼み、政治がリスク ~

2025年12月01日 中井勇良、立石宗一郎


足元の欧州経済は持ち直し。米国関税政策や競争力低下に伴う外需の減速が、ドイツを中心とした製造業の生産を下押ししているものの、賃金の上昇や物価の安定に支えられた家計消費が押し上げ。国別では、堅調なスペイン経済が全体をけん引。

先行きのユーロ圏経済は緩やかに回復する見込み。底堅い内需が全体を下支えするほか、スペイン経済も引き続き景気をけん引する見通し。これに加え、ドイツを中心とした財政拡大が、政府投資を促し、運輸サービスやエネルギー・防衛産業などの生産活動を活発化させる公算。

英国経済は減速。外需の減速や緊縮的な財政政策から企業の投資・採用意欲は低下。軟調な雇用・所得環境により家計消費の持ち直しも足踏みする見通し。先行きは当面減速が続くものの、世界経済の持ち直しやBOEの利下げにより、来年半ばには景気は緩やかに持ち直す見通し。

当面のリスクは域内外の政情不安。域外では米国との貿易摩擦激化から、①関税引き上げで外需が減少する恐れ。また、域内では②フランスの政局混乱の長期化で金利が高騰し、企業収益や財政を圧迫する恐れ。さらに、③ドイツの地方選挙で極右が伸長すれば、移民排斥の機運が高まり、生産能力低下につながる可能性も。


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